2014 Fiscal Year Research-status Report
高温イオン液体中の酸素の電気化学酸化によるLix(Al,Mn)Oy高電位正極創製
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26810124
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大石 昌嗣 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (30593587)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | リチウムイオン二次電池 / 高容量正極材料 / リチウム過剰系正極材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
LiAlO2-Li2MnO3固溶体試料を液相法と固相法により合成した.まず逆共沈法を用いて前駆体として複合水酸化物を作製した.水酸化物イオン源には2 MのNH3水溶液を用いた.カチオン源にはAl(NO3)3とMnCl2を用い,Al : Mn =3 :7,1:1,7 :3 のカチオン比になるように3種類の前駆体を作製した.以降,AlMn37, AlMn11, AlMn73と表記する.逆共沈法で得られた複合水酸化物を,300oCで12時間焼成して酸化物とした.この前駆体酸化物とLi2CO3の固体法にて600oCで6時間焼成した.焼成後の試料にはLi2CO3の残存が見受けられたが,概ね想定していたLi過剰系層状酸化物のXRDプロファイルが得られた.SEM像観察より試料の粒径は200 nm程度であった. これらの試料を用いて合材電極を作製し,充放電試験を行った.リチウム過剰系正極材料に見られる典型的な充放電プロファイルが見られ,大きな初期不可逆充電容量を示した.初期放電以降は可逆的な充放電特性を示したがその容量は小さかった.組成による充放電特容量に違いがあり,特にAlMn73の初期充電容量が小さく,また放電容量も小さかった.一方,Mnの含有率が高いAlMn37とAlMn11では50 mAhg-1程度の放電容量を示した. 充放電後の電極の電子構造を調べる為に,立命館大学SRセンターBL2にて,大気暴露せずにトランスファーベッセルにて封入した電極試料のOのK吸収端及びMnのL吸収端を試料電流法と蛍光収量法にて測定した.表面敏感である試料電流法での結果より,表面においてMnの酸化還元を確認した.バルク敏感である蛍光収量法の結果においては,充放電に伴う酸素の酸化還元を確認した.本試料において,リチウムイオンの脱離挿入に伴う電荷補償において,酸素が酸化還元反応に寄与していることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の予定に従い,まずは新規リチウム過剰系状酸化物としてLiAlO2-Li2MnO3固溶体試料の合成を行った.得られた試料のラボX線回折装置を用いたXRD結果より,リチウム過剰系層状酸化物に見られる超格子ピークを確認し,目的のLiAlO2-Li2MnO3固溶体試料を得られている事を確認した.今までに報告のない新しい試料であることから,本年度は既存の有機電解液を用いた材料評価を主に進めた.1M LiPF6, EC/EMCを電解液として用いたセルを作成し,電気化学評価を行い,従来報告されているリチウム過剰系層状正極材料で見られる典型的な充放電プロファイルを示した.また,放射光軟X線吸収分光法により,充放電に伴う酸化物イオンの酸化還元反応を確認した. イオン液体電解液としてCs,Li-TFSA [Cs:Li=90:10]を用いた150℃での電気化学評価も開始している.高電位での酸素による酸化還元反応を示唆する結果を得ているが,その容量は非常に小さかった.今後は、電極試料の最適化を進める必要がある.
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Strategy for Future Research Activity |
現状では電極特性は不十分であることが明らかになった.今後は,試料合成条件の最適化,もしくは合材電極の最適化が必要である. また,得られた試料を用いて高温イオン液体による電気化学処理についても評価を進める.
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Research Products
(1 results)