2014 Fiscal Year Research-status Report
小型・低コストを実現するQスイッチ-液晶共振器からの擬似CW発振
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26820112
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
井上 曜 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, その他部局等, 助教 (30723770)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 液晶 / レーザー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、CWレーザー励起(光入力)・擬似CWレーザー発振(光出力)の機能性を持った液晶レーザーデバイスを作製することを目的としている。液晶はこのレーザーシステムの中で共振器の役割を果たすため、液晶のQ値を高速に変化させることでQスイッチレーザー発振を引き起こし、擬似CW光を生成することが可能であると考えられる。ここで問題となるのが、液晶のQ値を高速に変化させる手法である。一般的に、液晶の電気光学効果の応答速度はミリ秒オーダーであり、Qスイッチレーザーを実現するほどの高速性を有していない。そこで、平成26年度は、液晶の高速応答化に関する研究を行った。 従来良く用いられてきたネマティック液晶では、応答速度は素子厚さに依存することが知られている。この素子厚さは、デバイスの都合上、数マイクロメートルよりも小さな構造にすることが出来ないため、応答速度の改善は困難であった。そこで本研究課題では、異なる物理機構を有するコレステリック液晶に着目した。コレステリック液晶は、一次元螺旋周期構造を形成する材料で、その応答速度は螺旋周期長に依存する。この螺旋周期長は200nm程度まで短くすることが可能であるため、応答速度の改善が見込まれる。実際に実験を行うと、30マイクロ秒の応答時間を示すことが確認され、従来技術と比べて約3桁の高速化に成功した。これらの成果は、2本の筆頭著者論文としてApplied physics Expressに投稿され、すでに採択が決定されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に、液晶の高速化に成功したため、最終年度である平成27年度では実際にQ-スイッチレーザー発振が可能かどうかを確かめる実験を行う予定である。これらは一年間で十分に遂行可能なタスクであり、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のように、高速化に成功したので、今後は本研究課題が掲げるQ-スイッチレーザー発振を実現させ、これまで成功例のないCWレーザー励起のコレステリック液晶レーザーデバイスの開発を行う。
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Causes of Carryover |
当該年度の10月に所属機関の異動を行ったが、異動先の機関の事務の都合により、半年間予算が執行できない状況が続いたため、執行の予定を変更せざるを得なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予算執行が可能になった現在平成27年度4-5月に、すでに分光器及びレーザーの購入手続きをしている。それらにより、240万ほど予算を執行する予定である。
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Research Products
(7 results)