2015 Fiscal Year Research-status Report
水和物の物理的性質に基づくセメント硬化体の体積変化評価手法の構築
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26820181
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyota College |
Principal Investigator |
須田 裕哉 豊田工業高等専門学校, 環境都市工学科, 講師 (10636195)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 土木材料 / 水和物 / 高炉スラグ微粉末 / フライアッシュ / 屈曲度 / 比表面積 / C-S-H / 組成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,環境条件である温度や湿度の影響がセメント硬化体の体積変化に及ぼす影響について硬化体中の水和物の物理的性質や温湿度条件の変化による空隙構造の観点から評価することを目的としている. 今年度は,昨年度実施したAlが置換されたC-S-Hの物理的性質に関する検討について,より詳細な検討を行うため,混和材である高炉スラグ微粉末やフライアッシュを置換した実セメント硬化体を用いて更なる検討を行った.その結果,混和材である高炉スラグ微粉末やフライアッシュを置換したセメント硬化体は,混和材無置換の硬化体と比較して,同一の結合材反応度であっても生成された水和物の比表面積は増加する傾向を示した.また,個々の水和物の影響を分離した上で主要な水和物であるC-S-Hの比表面積を評価した結果,Ca/Si 比が低いほど比表面積が大きく,Ca/Si 比が同一でも比表面積は変化した.この傾向は合成C-S-H の結果と同様であり,C-S-H の比表面積の変化にAl が影響を及ぼすことが示唆された. 次に,セメント硬化体の空隙構造に及ぼす環境条件の影響を評価する目的で,乾燥湿度を変化させたセメント硬化体の酸素の拡散性状を評価した.得られた結果として,酸素の拡散係数と開放空隙率の関係は,高炉スラグ微粉末を置換させた硬化体において,無置換の硬化体と異なる傾向を示した.さらに,空隙構造特性である屈曲度を評価した結果,高湿度で乾燥させた硬化体の酸素拡散実験から得られた屈曲度は,水結合材比や高炉スラグ微粉末の置換によらず空隙内の水分量の変化に依存した.一方で,低湿度で乾燥させた硬化体の屈曲度は,水結合材比や高炉スラグ微粉末の置換によらず水和物間で形成される空隙率と比例関係を示した.これは,乾燥によ り空隙の複雑性の増加が要因として示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度と今年度の検討により,セメント硬化体のマクロな物性変化に関するデータは蓄積されつつあるが,温度や湿度変化に伴う水和物の物理的性質の変化の評価については合成水和物の乾燥が長期間にわたるためやや遅れ気味である.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である28年度は,任意の乾燥条件下におかれたセメント水和物の個々の物理的性質の評価に関する検討を進める.特に,主要な水和物であるC-S-Hについてはその組成との関係も含め,乾燥による微細構造と物性変化との関係を評価する.また,得られた個々の水和物の性質の変化とセメント硬化体のマクロな物性との関係について取りまとめを行う.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として,当初の計画で実施予定であった水和物の合成を次年度に行うこととなったため,その合成水和物に使用する試薬費用等が未利用であったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度である28年度は,水和物合成によるアプローチが主体となるため,次年度使用額がその合成試薬費用として利用する.
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Research Products
(2 results)