2015 Fiscal Year Research-status Report
木質構造における筋かいの座屈耐力と変形能力に期待した耐力壁の開発
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26820236
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
神戸 渡 関東学院大学, 建築・環境学部, 講師 (90453000)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 筋かい / 耐力壁 / LVL / 座屈 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、筋かい材として直交層をもつLVLによる検討を行うこととした。その材料をここではLVBと呼ぶこととする。いくつかの長さのLVBの圧縮試験を行い、本研究で提案している座屈強度の評価手法が適用性に関する検討を行った。その結果、昨年度までと同様に、LVBに対しても短柱の縦圧縮試験から得られた降伏ひずみをクライテリアとして用いることで、弾性座屈強度と塑性座屈強度を別々に評価できることを明らかとした。 つづいて、LVLとLVBを筋かい材として用いた場合の耐力壁の実験を行った。LVLとLVBでは破壊性状には大きな差はなく、すべての試験体において筋かい材が曲げ破断するものであった。その試験体の結果より、筋かい材の圧縮ひずみが降伏ひずみに達した時の変位D1と、圧縮歪が降伏ひずみに達した時の変位D2を比較したところ、その比率はおおよそ2倍であった。以上のことから、筋かい材の圧縮ひずみと耐力壁の水平変位には比例関係があることが明らかとなった。このことから、圧縮ひずみが降伏ひずみに達するまで荷重変位関係を数値的に解析できることで、降伏耐力以降の変形も推定できるという目途が立った。この課題に対して、最終年度で検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、2年目までに、材料の選定を行う予定であった。筋かい材にLVLとLVBを用いることを想定し、いくつかの樹種を用いた検討を行った。それらの検討から、カラマツのLVLが望ましいという見解を得た。また耐力壁に関する検討も行う予定であった。最終年度は実際の建物で使うような仕様の耐力壁を想定した実験を行う予定であったが、そのための基礎的知見を得ることができた。よって、研究計画は順調であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、前年度までの研究をかんがみ、カラマツのLVLを用いた筋かい耐力壁に関する検討を行う。実際の建物で使うような仕様の耐力壁を用いた実験を行う予定である。それにより、筋かい耐力壁の大変形領域までの荷重変形関係を簡易的に得るための手法を提案する予定である。
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Causes of Carryover |
1年目に予定より早く国際会議での発表となった。そのため、3年目に予定していた国際会議参加費を前倒しとした。その残額が次年度使用額が生じた理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
その分は、本年度の試験における測定などの充実に充てる予定である。
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