2016 Fiscal Year Annual Research Report
Study on the transition of planning methods and agricultural situation in reclaimed villages
Project/Area Number |
26820260
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
牛島 朗 山口大学, 創成科学研究科, 助教 (40625943)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 干拓村落 / 開発主体 / 水利条件 / 営農環境 / 地域計画 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究を通じ,西日本地域における代表的な干拓地である児島湾沿岸地域と有明海沿岸地域の干拓村落形成プロセスの一端が明らかとなり,近世以降の新田開発時導入された計画手法の差異が形態的多様性に影響を及ぼしている事が明らかとなった。特に,元々の地形的な制約・水利環境が及ぼす初期条件の影響に加え,開発主体や開発方式に地域的な差異が見られ,その後の居住地の形状や農地の構成・所有関係に大きな影響を与えている。ただし,近代以降の新田村計画に対し,当該地域における近世時の計画はあくまでも耕地部分のみを対象としており,居住地の確保は,耕作者自らの働きかけに拠る所が大きい。その際,有明海沿岸地域では微地形である旧堤防上を利用する方式がとられ,児島湾沿岸地域では農地獲得時の耕地ユニットとの関係から居住地が選定されていると考えられる。その結果,有明海沿岸地域では旧堤防周囲での集落形成が生じる一方,児島湾沿岸地域では散居状の村落形態が現れる。さらに,当時の支配階層による干拓施策や開発主体の違いが居住地形態の地域的際に結びつき,有明海沿岸地域や児島湾沿岸地域という広域的領域の中に多様な形態を有する干拓村落が形成される事になった。 こうした新田開発プロセスの違いにより生じた村落形態における差異は,現在に至る農業経営の在り方にも大きな影響を及ぼしており,農業の機械化や農地改革,生産調整等各時代の営農環境の変革期には,地域毎で異なる課題となって現れる。今後の農村計画においては,地域的な営農実態に対応した施策や,地域自体の歴史を資源として再解釈し,次世代の生産基盤として維持していく事が求められることから,本研究の成果をさらに発展させ,新たな地域計画手法構築の際の知見として有効に活用していきたい。
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