2015 Fiscal Year Annual Research Report
ダイヤモンド状炭素膜の面内ヘテロ構造化による高耐久性テクスチャード金型の開発
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26820327
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
清水 徹英 首都大学東京, システムデザイン学部, 助教 (70614543)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 表面テクスチャリング / ドライ加工 / ダイヤモンド状炭素 / マイクロ金型 / ヘテロ構造 / 耐摩耗性 / ボールオンディスク試験 / イオン化物理蒸着法 |
Outline of Annual Research Achievements |
全体の研究目標に対し,第二年度は①面内ヘテロ構造の摩擦摩耗特性評価と②その構造設計指針の構築を大きな研究目的として研究を遂行し,以下の研究実績を得た. 1. 軟質/硬質相DLC膜形成の高精度化と摩擦摩耗特性評価 初年度における検討を踏まえ,第二相目の成膜時にイオンの配向性に起因してヘテロ相間の位置ずれが生じていたことから,第二相目の成膜時に配向性の少ないPECVDプロセスを採用することでその高精度化を図った.ナノインデンテーションによる硬度評価の結果,ヘテロ相間で硬度差が約15GPa,ヤング率にして約100GPaほどの差を有するヘテロ構造の形成に成功した.同ヘテロ構造膜の時系列的な摩耗特性をボールオンディスク試験により評価した結果,本研究で提案していた軟質部の優先的な摩耗挙動を確認した.しかしその一方で,検証したラインスペースパターンの構造寸法(幅100um,ピッチ150um)の大きさに起因して,摩擦係数の大きな変動が生じた. 2. ヘテロ構造設計指針の構築 上記実験的検証を踏まえ,ヘテロ構造の構造幅と硬度比の観点から理論的な摩耗量を算出し,最適な構造設計について検証した.摩耗量の推定には,凝着摩耗とアブレシブ摩耗の二点に着目し,凝着摩耗に関してはArchardの凝着摩耗モデル式を,アブレシブ摩耗に関してはBhushanの摩耗量に関わる寸法効果理論から接触面内で掘り起こしに寄与する摩耗粉の接触面積,全体の摩耗粉数に対する捕捉された摩耗粉の数の割合および捕捉された摩耗粉の平均直径を仮定してその摩耗量を求めた.上記2つの摩耗項の合計を面内ヘテロDLC膜における総摩耗量として算出した結果,構造幅は65um,硬度比2倍ほどの構造寸法を有する面内ヘテロDLC膜が摩耗量低減に最も有効であるという結論を得た.
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Research Products
(15 results)