2014 Fiscal Year Research-status Report
規則性固体のナノ空間への複核金属種の設計による脱水素カップリング触媒反応系の開発
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26820352
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
前野 禅 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (30721154)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 金属複核錯体 / マガディアイト / 酸化的カップリング / ナノ空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請課題では、規則性構造でかつ膨潤性や調節可能な物理的・化学的特性を有する層状無機化合物の層間をナノ空間として利用した複核金属中心の精密設計手法を確立し、分子状酸素による位置選択的な酸化的脱水素型のカップリング反応を進行させる固体触媒を開発することを目的とした。 平成26年度は、層状ケイ酸塩であるマガディアイトのシリル基が上下に規則的に配列したナノ層間の構造に着目し、その層間へ銅単核錯体をカチオン交換で固定化することにより一段階で二核銅中心が形成されることを明らかにした。また、このマガディアイト固定化二核銅触媒は、有機溶媒中で膨潤し、酵素チロシナーゼが進行させるジメチルフェノールの位置選択的な酸化的カップリング反応を、酵素よりも10倍以上高い触媒回転数で進行させることを見出した。マガディアイトのナノ層間が二核銅中心の調製場として機能するだけではなく、層間内にて反応中も二核構造を効果的に安定化している為、高い活性、選択性、及び耐久性を有する優れた触媒として機能していることを種々の分光学的解析により明らかにした。また、このマガディアイト固定化二核銅錯体触媒は、他の結合形成反応に対しても高活性を示すという知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成26年度では、当初の計画通り、担体のナノ層間を調製場とする固定化複核銅錯体触媒の調製及び位置選択的な脱水素型カップリング反応への応用に成功しただけではなく、平成27年度に予定していた他の結合形成反応への展開も検討できた。以上より、計画以上に研究が進行していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の知見に基づき、マガディアイトを含めた規則性無機担体のナノ空間を調製場とした他の金属複核中心固定化触媒の開発へ展開し、他の酸化的カップリング反応における触媒作用を検討する。また、マガディアイトの層間のシリル基を利用した有機官能基の導入によって、複核金属種と有機官能基の協奏効果を発現する高機能触媒の開発を考えている。
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Causes of Carryover |
XAFS測定を行う研究施設への旅費を計上していたが、当初の計画よりもXAFS測定を行う回数が減った為、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の計画よりも研究が進んでいるので、平成27年度の計画通りに研究を遂行するとともに、論文発表や国内外での学会発表を積極的に行う。その為の物品費、論文掲載時の費用、旅費として使用する計画である。
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Research Products
(16 results)