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2014 Fiscal Year Research-status Report

分子認識ポリマー複合型人工アロステリック酵素の開発とナノ構造制御

Research Project

Project/Area Number 26820358
Research InstitutionTokyo Institute of Technology

Principal Investigator

大柴 雄平  東京工業大学, 資源化学研究所, 助教 (10708530)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2016-03-31
KeywordsP450cam / コンジュゲート
Outline of Annual Research Achievements

これまでに、ポリエチレングリコールやスペーサー長の異なるビオチン化合物といった比較的長い化合物を、野生型P450cam(WT)や活性ポケット付近に反応性官能基であるチオール基を有するP450cam変異体(3mD)にコンジュゲートし、その活性や構造変化の知見を明らかにしてきた。そこで、本年度は、小分子の1つである蛍光物質Fluorescein-5-maleimide(Fmal)とWT、3mDのコンジュゲート体をそれぞれ作製した。すると、興味深いことに、WTでは、酵素活性、活性中心であるヘム付近の構造に変化がない一方、3mDでは、酵素活性はFmal修飾前の3割程度になるものの、ヘム付近の構造には大きな変化がないことが分かった。WTではFmal修飾後活性を保持していることが分かったので、WTを用いて直接電子移動機構を有する酵素電極の開発への応用を試みた。グラッシーカーボン電極に蛍光物質でもある N-(1-Pyrenyl)maleimide(NPM)をπ-π相互作用で修飾し、その後、WTの表面に露出した3箇所のチオール基とNPMのマレイミド基とを作用させ電極上に固定し、サイクリックボルタンメトリーで評価した。その結果、ヘム鉄由来の酸化還元波は観測されず、GC電極のキノン―ヒドロキノン由来の酸化還元波が消失した。これは、P450camが電極上で失活し、抵抗成分となって電子移動を阻害していると考えられる。P450camコンジュゲート体を酵素電極に応用するためには、電極上で如何にしてP450cam活性を保持するか考慮する必要がある。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

WT、3mDに蛍光物質をコンジュゲートし、コンジュゲート前後の活性評価、可視・紫外分光法によるヘム付近の構造変化を行った。また、活性を保持した状態での電極への固定はできなかったものの、蛍光物質とP450camのコンジュゲートを酵素電極へ展開し、その可能性を示唆した。活性を保持した状態で電極に固定さえできれば、WTと3mDを用いることで、固定した酵素の配向性が電気化学的活性に与える影響を詳細に議論することが可能であると考えられる。また、蛍光物質を3mDにコンジュゲートするとヘム周辺の構造は保持されているものの酵素活性が低下したことから、これまでに明らかにした、アビジン―ビオチン化3mDの活性変化(アビジン結合後、ヘム周辺の構造が変化し酵素活性が低下)とは異なるメカニズムで活性が変化している可能性が示唆された。当初のコンセプトである分子認識ポリマーを用いた系とは異なるが、今後、様々な化合物をWTや3mDにコンジュゲートした後の酵素活性と構造変化の関係を整理すれば、P450camのコンジュゲート体を作製する際の設計指針という、重要な知見が得られると期待される。

Strategy for Future Research Activity

P450cam変異体である3mDに蛍光物質をコンジュゲートすると、ヘム周辺の構造は保持されているものの酵素活性が低下した。アビジン―ビオチン化3mDの活性変化では、ヘム周辺の構造変化に起因していることから、蛍光物質をコンジュゲートした場合、別の理由で酵素活性が低下していることが示唆された。一方、WTでは蛍光物質コンジュゲート後も酵素活性、ヘム周辺の構造共に保持されていた。これに関して、次年度、蛍光物質やアビジン―ビオチン以外の様々な性質を持つ化合物をWTや3mDにコンジュゲートし、コンジュゲート体の酵素活性と構造変化の関係を整理し、コンジュゲート後の活性変化メカニズムを考察する。さらに、当初の計画で想定していた、分子認識部位に分子認識ポリマーを用いた人工アロステリック酵素を作製し、その応答性評価も行っていく。

Causes of Carryover

今年度投稿中の1報の英語論文の追加校正分を見越していたが、必要なくなったため、次年度への繰り越しとした。

Expenditure Plan for Carryover Budget

別刷り・カバー印刷代と併せて使用していく。

  • Research Products

    (2 results)

All 2015 2014

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] Reducing Physical Adsorption of Enzymes by Surface Modification2014

    • Author(s)
      Takanori Tamaki, Tomoharu Sugiyama, Masahiro Mizoe, Yuhei Oshiba, and Takeo Yamaguchi
    • Journal Title

      Journal of The Electrochemical Society

      Volume: 161 Pages: H3095-H3099

    • DOI

      10.1149/2.0181413jes

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 電極上の固定化酵素活性向上へ向けた研究2015

    • Author(s)
      森田直樹、田巻孝敬、大柴雄平、山口猛央
    • Organizer
      化学工学会 第80回年会
    • Place of Presentation
      芝浦工業大学 豊洲キャンパス(東京都)
    • Year and Date
      2015-03-19 – 2015-03-21

URL: 

Published: 2016-06-01  

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