2014 Fiscal Year Research-status Report
舶用ガス機関におけるガス燃料の耐ノッキング性評価指数に関する研究
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26820386
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Research Institution | National Maritime Research Institute |
Principal Investigator |
市川 泰久 独立行政法人海上技術安全研究所, その他部局等, 研究員 (20586680)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 舶用ガス機関 / 燃料組成 / メタン価 / ノッキング |
Outline of Annual Research Achievements |
環境負荷が少なく、経済性にも優れる天然ガスを燃料とした舶用動力システムの研究開発が進められている。高速・中速のガス機関には排気ガスが清浄な予混合燃焼方式が想定されているが、ノッキングや失火等の異常燃焼に課題を有する。このノッキングの発生は燃料組成に大きく影響を受けるため、一般的にはメタン価という指標で燃料の耐ノック性が評価されている。しかし、メタン価を定める試験は、高圧過給、希薄燃焼、高エネルギー着火、排気再循環などの技術が適用される実際の舶用ガス機関の運転条件と大きく異なる。このため、既存のメタン価による評価では、舶用ガス機関の適切な耐ノック性の評価を行うことが困難である。そこで、本研究では舶用ガス機関の各種運転条件おけるメタン価の有効な範囲や条件を明らかにし、その問題点を明確にすると共に、ガス燃料の新たな耐ノック評価指数を考案することを目的としており、平成26年度は、実験システムの構築と基礎実験を実施することを目標とし以下の研究を行った。 本年度は、まず筒内燃焼圧力波形の計測・解析プログラムの制作を行った。通常の燃焼解析に加えノッキング強度を正確に評価するための周波数解析プログラムを作成し、実験中にリアルタイムでノッキング強度を計測・解析することが可能となった。次にガス燃料組成変更装置を制作した。本装置は都市ガスに対してプロパン主成分のLPGとブタン主成分のLPGの2種類を混合するもので、ガス機関100%負荷時にはLPGを最大30Vol.%まで混合する能力を有する。さらにガスクロマトグラフによって燃料ガス組成をリアルタイム分析するシステムを構築し、実験条件を正確に定めることを可能とした。 実験では、燃料組成変化に伴うノッキングの発生を確認するとともに、本機関におけるノッキング周波数を特定した。また燃料組成変化が機関性能に与える影響について国内学術講演会で発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に申請した「研究の目的」に対して、現在までに必要な実験・計測システムの構築が完了するとともに、基礎的実験を実施した。 具体的には、まず燃料組成の制御システムを構築し、さらにノッキング強度を正確に評価できる計測・解析プログラムを制作した。これにより、効率的に研究を遂行できる実験環境を構築することができた。さらに燃料組成が変化した場合のエンジン性能に及ぼす影響について基本的な知見を得た。続いて燃料組成変化にともなうノッキングの発生を確認し、メタン価とノッキング強度の関係性について整理を行った。また1次元エンジンシミュレーション制作では、ガス物性計算コード等のサブルーチンを制作した。 これらの研究の進捗から本研究課題は、「(2) おおむね順調に進展している」と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、燃料組成変更実験の条件を拡大することでより詳細なメタン価とノッキングの関係について考察を行う。また水素混合装置および排ガス再循環装置に関連する実験システムを整備し、水素混合効果また排ガス再循環技術が適用された場合についても実験を実施する。これらの結果を取りまとめ、様々な条件におけるメタン価による耐ノック評価の有効性について検討を行う。一方、1次元エンジンシミュレーションの制作も行い、理論的にもノッキング発生について考察を行う。
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Causes of Carryover |
物品費に関しては見積金額と購入金額との差額であり、また旅費に関しては国内出張の回数が当初の予定より少なかったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究課題を円滑に推進するために必要となる物品等を平成27年度に適正に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)