2014 Fiscal Year Research-status Report
マグマ-熱水系における鉱床形成プロセスと流体包有物の基礎研究
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26820393
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
高橋 亮平 秋田大学, その他部局等, 助教 (10396286)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 流体包有物マイクロサーモメトリー / 流体包有物ガス分析 / ラオス中央部・錫鉱床地帯 / Chatree鉱山 / 菱刈鉱山 |
Outline of Annual Research Achievements |
ラオス中央部のBan BonengおよびPhontiu錫鉱床地帯において、秋田大学の学生1名、タイ・チュラロンコン大学の教員1名及び学生1名のチームで地質調査を実施し、同地域の花崗岩類、漂砂型錫鉱石、硫化物鉱石の採取、および、露頭の帯磁率、放射能の測定を行った。採取した岩石について、薄片観察、全岩化学組成分析、硫黄同位体分析などを実施し、錫およびベースメタル鉱化作用の特徴についての記載と鉱床成因の考察を行った。また、現在、錫鉱化作用の鉱化年代測定のための実験準備をすすめている。 タイ北部のチャトレー鉱山について、既に保有するAピットおよびNピットの鉱石試料について、カナダのブロック大学およびタイ・チュラロンコン大学との共同研究である流体包有物のガス組成のデータ解析を行い、研究成果の一部を南アで行われた国際会議(IMA2014)で発表した。また、本鉱山の探査部門と開発部門を訪問し、次年度以降の研究計画等の打ち合わせを行った。 また、関連するプロジェクトで、タイ西部のPadaeng鉱山を訪問し、亜鉛鉱石を採取した。本鉱山は、亜鉛の2次鉱物が鉱石の主体をなすため、本研究の目的に沿う研究の実施ができるかどうかを検討している段階である。 鹿児島県北部の菱刈鉱山において、秋田大学の学生1名を引率し、坑内および鉱床周辺の地質調査を行った。採取した試料について、薄片観察、全岩化学組成分析、流体包有物マイクロサーモメトリーおよびガス分析を実施し、含金石英脈の鉱物記載と鉱化作用に関係する熱水の挙動について、考察を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当該年度に計画していた研究対象地域の調査が順調に行われた。特にBan BonengおよびPhontiu錫鉱床地帯では、これまでに明らかにされていない錫石の原岩と思われる岩石が確認された。Chatree鉱山については、AピットおよびNピットの鉱石試料で、流体包有物のガス組成の明らかな違いが確認され、鉱床形成条件の理解が大きく進展した。菱刈鉱山の含金石英脈中の流体包有物のマイクロサーモメトリーとガス組成分析により、新規性のあるデータ取得が行われ、金鉱化作用に関連する熱水の挙動についての新たな理解につながった。以上が理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
ラオス中央部の錫鉱床地帯について、ジルコンを用いた年代分析を計画している。タイ北部のChatree鉱山について、主要鉱体を対象とした総合的な鉱床記載、同位体分析、流体包有物分析の実施を計画している。菱刈鉱山では、高品位鉱体に焦点を絞り、含金石英脈の鉱物記載、同位体分析、流体包有物分析の実施を計画している。このほか、金属鉱床を形成する熱水流体の特性を理解するため、現在の地熱帯で観察される火山ガスと地熱流体を対象とする研究を平行して実施する予定である。
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Causes of Carryover |
当初の予算計画で高温タイプの流体包有物マイクロサーモメトリー装置の導入を検討していたが、大学内の別経費で購入することが出来たため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額について、主に研究協力者を含むフィールド調査の旅費、実験分析費にあてる予定である。
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