2015 Fiscal Year Annual Research Report
染色体構築におけるコンデンシンⅠ制御サブユニット (kleisin) の役割
Project/Area Number |
26840012
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
竹内 康造 国立研究開発法人理化学研究所, 平野染色体ダイナミクス研究室, 訪問研究員 (80722769)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | コンデンシン / 染色体構築 / kleisin / カエル卵抽出液 |
Outline of Annual Research Achievements |
真核生物のコンデンシンIは、染色体構築に中心的な役割を担うタンパク質複合体であり、5つのサブユニットから構成される。この複合体は、ATPの加水分解を利用して2重鎖DNAに正の超らせんを導入することが知られており、これが染色体構築のための本質的な活性であると考えられている。しかし、この機能を生み出すための個々のサブユニットの役割については、分かっていないことが多い。本研究では、特に解析の遅れているkleisinサブユニット(CAP-H)の役割を明らかにする目的で、種間で保存性の高いアミノ酸に着目して複数の点変異体をデザインした。申請者の所属研究室では、これまでに、組換え型サブユニットからコンデンシンIを再構成しカエル卵抽出液中でその染色体形成能を検定する実験系が確立されている。そこで、本方法を開発した木下和久博士と協力して、上記のCAP-Hサブユニット点変異体を含むコンデンシンIを再構成し、それらの染色体形成能や他のサブユニットとの結合能を、野生型コンデンシンIと比較しながら解析した。本年度はその結果として、これまでにない染色体軸構造の異常表現型や、他のサブユニットとの結合に重要なCAP-Hのアミノ酸残基を明らかにすることができた。さらに、コンデンシンIの分子活性の理解を深める目的で、申請者は次の2つの解析を進めた。1つめは、組換え型サブユニットから再構成した野生型コンデンシンIを用いたDNA超らせん化解析に着手した。2つめは、昨年度から進めてきたカエル卵抽出液中で形成される「ミニ染色体」を用いた実験系をさらに発展させた。今後はこれら2つの解析をCAP-H点変異体を含むコンデンシンIの機能検定に適用することで、kleisinサブユニットの役割を分子活性及び生理学的機能の両面から理解したい。
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