2014 Fiscal Year Research-status Report
In vivoライブイメージングと遺伝学の融合による植物受精機構の動的理解
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26840104
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
水多 陽子 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 研究員 (70645142)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | in vivoライブイメージング / 二光子励起顕微鏡 / 植物生殖 / 花粉管ガイダンス / シロイヌナズナ |
Outline of Annual Research Achievements |
植物の生殖過程はめしべの奥深くで展開される現象であり、in vitroでの解析が中心であった。しかし、in vitroの解析では、花粉管どうしの競争や、多精拒否の仕組みなど、受精過程の多くを解析することができず、雄と雌の相互作用のメカニズムは明らかとなっていない。本研究では、二光子顕微鏡を用いてめしべ深部を長時間生きたままin vivoイメージングし、雄と雌の相互作用のメカニズムを明らかにすることを目指した。 本年度は、まず、二光子顕微鏡を用いた長時間in vivoライブイメージング法の確立、およびシロイヌナズナの各細胞マーカーラインの整備をおこなった。観察条件や培養温度などを検討し、最大28時間連続でめしべ内を観察することに成功した。次に、様々な蛍光タンパク質で可視化した花粉管をめしべに受粉し、その挙動を生きたまま観察した。その結果、伝達組織内における花粉管の伸長速度は1~2μm/minと、in vitroで観察される値に類似しており、花粉管どうしにあまり差が見られないことが分かった。 次に、花粉管が胚珠へと誘引される花粉管ガイダンスについても観察をおこなった。異なる3色の蛍光タンパク質で可視化した花粉を混合し、各組織を可視化しためしべに受粉して観察することで、個々の花粉管の挙動をめしべ内で生きたままトレースすることに成功した。その結果、花粉管がめしべ内の伝達組織を伸長し、その後、隔壁表皮に這い出して珠柄をのぼり、胚珠へと向かう様子が観察された。複数の観察結果から、胚珠へと誘引された花粉管と誘引されなかった花粉管の特徴を比較することで、花粉管ガイダンスにおける新たな機構が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通り、in vivoライブイメージング法を確立し、花粉管の挙動を30時間近く生きためしべ内で解析することが可能となったため。また、花粉管ガイダンスについて新たな知見も得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画通り、本研究で確立されたin vivoイメージング法により、生殖に異常を示す雌雄変異体の生殖過程を観察する。花粉管の挙動を野生型と比較することで、花粉管の挙動に影響を与える組織および遺伝子について調査する。
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