2016 Fiscal Year Annual Research Report
Species Diversity of Terrestrial Predatory Leeches in Asia
Project/Area Number |
26840127
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中野 隆文 広島大学, 教育学研究科, 特別研究員(PD) (50723665)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 系統分類 / 新種 / ヒル類 / 胃通管 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は,四国より得られたクガビル類の1未記載種を新種とした記載論文を執筆し,受理された.この種は4体環の小型種で,中国地方ならびに四国に分布する4体環・小型の既知2種と近縁であることが,分子系統解析の結果から明らかになった.更にこの3種間の遺伝的距離は小さく,瀬戸内海の形成史を加味すると,これら3種の種分化がごく最近になって起こった事が示唆された.東アジアに分布するクガビル類の総種数は18種となった. 加えて,長らくその機能が不明であった,クガビル類が有する,消化管に結合する「胃通管」という器官について,その機能の一端を明らかにすることが出来た.交尾直後個体標本の胃通管にはカプセル状の構造物が詰まっており,その内容物をTEM観察によって特定した.結果,カプセルはクガビルの精包であることが判明し,胃通管は消化器官に連絡しながら,生殖器官としての役割を有していることを明らかにした. イツウコウビル類については,前年度のサンプルに加えて,東南アジア産肉食性ヒル類の既知種のタイプ標本を精査する機会を得た.結果,イツウコウビル科それ自体の定義に大幅な修正が必要であることが明らかになった. 本研究課題では,目標の一つであった東南アジアに分布するイツウコウビル科既知種の分類学的再検討については,完遂することが出来なかった.しかし,イツウコウビル科自体の判別形質の更新,そしてその属分類を見直すための知見を得ることが出来た.またクガビル科については,本研究課題によって7新種を記載することが出来た.加えて,体環様式・性成熟時のサイズ等で平行的な進化が起こった事を明らかにした.特に,クガビル科が有する胃通管の機能を初めて明らかにすることが出来たのは,重要な成果である.これら研究成果を基に,本研究課題によって得られた未発表データについても,今後学術雑誌に投稿していく予定である.
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Research Products
(9 results)