2015 Fiscal Year Research-status Report
フロリゲン・アンチフロリゲン遺伝子群から探るサクラの花序形態形成の多様性
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26850017
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
江角 智也 島根大学, 生物資源科学部, 准教授 (30548764)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 花序形態 / 花芽分化 / サクラゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
サクラは散房花序から散形花序の形態多様性を示す。その違いを遺伝子レベルで特徴付けて解明することを目指している。特にフロリゲン遺伝子、アンチフロリゲン遺伝子を解析の糸口として花序の形態形成の分子メカニズムを探る。 前年度に引き続き、島根大学が保有する約150品種のサクラ遺伝資源を用いて、開花期に花序の形態観察を実施した。複数年分の開花時の花序形態に関するデータを解析し、花序の形態形成について年次環境の影響を受けやすい品種、受けにくい品種を判別した。また、1花房あたりの花数、花序軸や花梗の伸長程度について、各品種の特徴付けを行い、花序形態に基づく分類を行った。花序形態に併せて、開花時期の早晩などについてもデータ整理を行った。 さらに、花序形態の特徴の違いと開花の早晩性に基づき7品種を選定し、7月~10月にかけて当年枝に形成された腋芽内部の様子を経時的に観察した。花芽分化時期の早晩は翌年の開花時期の早晩と関係ないこと、1花房あたりの花数は花芽分化時に形成される花原基の数で既に決定していることなどが明らかとなった。また、一部の品種については、最後に形成される花原基の発達が途中で停止するかもしくは退化し、花芽分化時に誘導される花原基数に比べて開花時の花数が減っている品種もあった。花序の形態形成については、花芽分化時期のサンプルの確保と分析が重要であることが明らかとなった。 遺伝子に関する解析については、これまでFT/TFL1遺伝子ファミリー各々の遺伝子を個別に調査してきたが、それらも含めた網羅的解析手法も必要であると考えた。そこで、花序形態のデータを用いたゲノムワイド関連解析によって関連マーカーを探索し、花序形態形成に関与する候補遺伝子を見出していくことを試みることとした。現在、各品種からのゲノムDNAの抽出を行い、次世代シークエンサーによる解析を実施中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
花序の形態に関するデータ収集およびサンプルの収集については、開花時の調査、花芽分化時の調査を行い、計画していた部分を達成できたと考える。遺伝子に関する解析について、FT/TFL1遺伝子ファミリーの発現解析を中心に行ってきたが、より多面的な視点、網羅的な解析も必要と考え、ゲノムワイド関連解析も検討している。全体の研究計画の達成度としては、遺伝子に関する解析の部分で当初計画からの修正も含め、遅れ気味であると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子研究の基盤となるゲノム情報に関して、サクラの近縁種であるオウトウにおいて進展があるため、その研究チームと連携協力して、サクラにおいてもゲノム情報の整備を行い、早急に遺伝子研究の土台を整える。そこに、これまで収集してきている花序形態データを用いた統計学的解析を実施し、網羅的解析アプローチから花序形態形成に関する分子メカニズムについて考察を深めていくこととする。
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Research Products
(1 results)