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2015 Fiscal Year Research-status Report

アーキアにおけるイノシトールキナーゼとリン酸化イノシトールの生理学的役割の解明

Research Project

Project/Area Number 26850049
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

佐藤 喬章  京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60571411)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2017-03-31
Keywords高温ストレス応答 / inositol
Outline of Annual Research Achievements

超好熱性アーキアThermococcus kodakarensisにおけるmyo-inositol kinase(TK2285)の生理学的役割の解明を目指して研究を進めている。
本年度はまず、高温および高浸透圧というストレス条件下におけるTK2285遺伝子破壊株および宿主株の増殖特性を比較した。人工海水の濃度を至適濃度の1.5倍とした培地においては宿主と破壊株の間で増殖の差は見られなかった。一方で、至適生育温度である85℃に対して90℃(ストレス条件)での増殖を検討した結果、解糖条件の培地においてTK2285破壊株では宿主と比べて明らかな増殖の悪化が見られた。さらに、TK2285のタンパク質量をWestern blotにより解析したところ、解糖・糖新生条件にかかわらず85℃と比べ90℃においてそのタンパク質量が有意に増加していることが明らかとなった。

また計画の通り、①宿主vsTK2285遺伝子破壊株、②myo-inositol添加vs非添加、③Nucleoside添加vs非添加、またそれに加え今年度同定した④解糖条件の85℃vs90℃における全遺伝子転写量の変動をDNAマイクロアレイを用いて解析した。その結果の中で特筆すべきものとして、①のTK2285遺伝子破壊株においてprefoldin構成遺伝子の転写量が宿主と比べ増加していたことがあげられる(3-4倍)。Prefoldinは変性タンパク質の崩れた折りたたみ構造を正しいものに戻すために、変性タンパク質をシャペロニンに運ぶ役割があるとされている。TK2285遺伝子破壊株においてprefoldinの転写量が増加したことから、TK2285も本来はタンパク質の安定化に関わる機能を担っている可能性が予測された。

以上の結果からTK2285は高温ストレス応答に寄与している可能性が考えられる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度に予定していた実験は全て順調に行い、TK2285が高温ストレスに応答に何らかの寄与をしていることを明らかにできた。これにより、最終目標である生理学的役割の同定に大きく近づいたと考えている。よって概ね順調に進展していると考えられる。

Strategy for Future Research Activity

本年度の結果から、TK2285は(特に解糖条件における)高温ストレス応答において機能することが予測された。今後はこの分子メカニズムを解明し、生理学的役割の解明を目指す。Inositolはタンパク質の安定化にも寄与するとされているcompatible soluteの原料となりえるため、TK2285はcompatible soluteの生産に寄与している可能性が考えられる。しかし、既知のcompatible solute合成経路においてinositolのリン酸化は必要とは考えられていないため、compatible soluteのquality controlなどのこれまでに知られていない機能を担っていると考えている。よってcompatible soluteの再生経路などに関わっている可能性を検討する。
そのために、まずTK2285破壊株や高温かつ解糖条件(90℃)で培養した宿主の、生体内におけるinositolやinositolから合成されるcompatible soluteなどの代謝産物をLC-MSやNMRなどを用いて解析していく予定である。
また、本年度に明らかとなったTK2285と関連する可能性のある遺伝子(Prefoldin)などの解析も必要に応じて進める。

Causes of Carryover

DNAマイクロアレイ実験などにおいて、予定していた試行回数より少ない回数で望ましい結果が得られたため、次年度使用額が生じた。

Expenditure Plan for Carryover Budget

論文作成に向け、本年度に得られた結果(特にDNAマイクロアレイ実験)の精度をさらに高めるために再現性の確認のための実験などに使用する。また、DNAマイクロアレイ実験により、生理学的役割を調べたい遺伝子と関連する可能性のある遺伝子が同定できたため、それの解析に充当する。

  • Research Products

    (2 results)

All 2015

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Acknowledgement Compliant: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] Crystal structure and product analysis of an archaeal myo-inositol kinase reveal substrate recognition mode and 3-OH phosphorylation2015

    • Author(s)
      Ryuhei Nagata, Masahiro Fujihashi, Takaaki Sato, Haruyuki Atomi and Kunio Miki
    • Journal Title

      Biochemistry

      Volume: 54 Pages: 3494-3503

    • DOI

      10.1021/acs.biochem.5b00296

    • Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
  • [Presentation] 超好熱性アーキアにおける新規ペントース代謝経路の同定2015

    • Author(s)
      佐藤喬章
    • Organizer
      第16回極限環境生物学会
    • Place of Presentation
      東京海洋大学 品川キャンパス
    • Year and Date
      2015-11-09

URL: 

Published: 2017-01-06  

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