2014 Fiscal Year Research-status Report
酢酸によるAMPK活性化メカニズムの解明~サルコぺニア予防・改善を目指して~
Project/Area Number |
26850087
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
吉村 征浩 岡山県立大学, 保健福祉学部, 助教 (60455566)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 酢酸 / 短鎖脂肪酸受容体 / 筋管細胞 / アセチルCoA合成酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は分化誘導したL6筋管細胞において、酢酸によるAMPK活性化のメカニズムを解明することを目的としている。 平成26年度は(1)酢酸によるAMPK活性化を通したglut4発現上昇の確認、(2)酢酸代謝に関与するAcetylCoA合成酵素(AceCS)の発現解析、(3)分化筋管細胞において発現している短鎖脂肪酸受容体(SCFAR)の同定(4)SCFAR遺伝子に対するsiRNAのデザイン、合成、分化筋管細胞におけるsiRNAの効果の評価を行った。 (1)については、酢酸とAMPK阻害剤を同時処理し、酢酸によるglut4遺伝子発現誘導がAMPK依存的であることを明らかにした。(2)については分化筋管細胞において発現しているAceCS遺伝子の解析を行い、今まで報告のない遺伝子が発現していることを明らかにした。(3)については、分化筋管細胞では酢酸に親和性が高いと報告のあるSCFAR2種類の内、1種類のみ発現量が高いことを明らかにした。(4)作製したsiRNAがL6筋管細胞において、SCFAR mRNA発現を抑制することを確認した。 (1)について、筋管細胞においてAMPK活性化が及ぼす下流反応の1つが明らかとなり、その結果は本研究の今後に繋がるだけでなく、酢酸摂取が糖尿病の予防、改善に繋がる可能性を示唆している。(2)については、酢酸代謝に関与する新たな遺伝子の研究に繋がる重要な発見であり、次の大きな研究課題となる。(3)(4)では次年度の計画の前提となる結果であり、(2)の結果と合わせて、酢酸によるAMPK活性化機構の全容解明に繋がるものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の目的の達成度は80%と評価する。 当初は、分化筋管細胞において内在性SCFARのノックダウンが酢酸のAMPK活性化に影響を及ぼすかを明らかにすることまでが予定であったが、平成26年度においては酢酸代謝における新たな知見が得られ、ノックダウンするSCFAR遺伝子を絞り込み、実際にノックダウンできることを確認したことから本研究課題全体の目標達成に近づくことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の実験により、本研究の目的を達成するために重要なL6筋管細胞において発現するSCFAR遺伝子がGPR43であることがわかり、ノックダウンができることが明らかになった。平成27年度はGPR43をノックダウンした筋管細胞に酢酸またはGPR43のアゴニストを作用させ、AMPKの活性化、glut4発現量をWestern blot、real-time PCRにより解析し、酢酸によるAMPK活性化にGPR43がどの程度関与しているかを明らかにし、GPR43の下流因子の解析も進めていく予定である。また、平成26年度の実験において、酢酸をアセチルCoAに変換するAceCSのうち、未だに発現部位や酵素学的性質の明らかになっていないisoformがL6筋管細胞に発現していることを発見した。平成27年度は上記のGPR43の解析に加えて、新規のAceCS遺伝子についてもクローニングを行い、酵素学的性質の解析、組織における発現分布の解析も同時に進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては、学会参加が予定より少なく、また参加学会が居住地で開催されたため、旅費が少なかったことがあげられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これらの金額と次年度以降に請求する研究費を合わせた研究計画としては、学会参加のための費用、研究成果発表のための論文作成時の英語校正費として使用することなどを計画している。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Molecular cloning and expression profiling of procollagen α1 (I) in cultured Pacific bluefin tuna2014
Author(s)
Teruyoshi Tanaka, Kenji Takahashi, Kohsuke Adachi, Haruki Ohta, Yukihiro Yoshimura, Yasuo Agawa, Yoshifumi Sawada, Osamu Takaoka, Amal Kumar Biswas, Kenji Takii, Nobuhiro Zaima, Tatsuya Moriyama, Yukio Kawamura
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Journal Title
Fisheries Science
Volume: 80
Pages: 603-612
DOI
Peer Reviewed
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