2016 Fiscal Year Annual Research Report
Whether is genetic disturbance caused in coastal mraine species?: Genome-wide population genetics of the yellowfin goby
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26850131
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平瀬 祥太朗 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (90635559)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マハゼ / 遺伝的撹乱 / 分子系統地理 / RAD-seq / 次世代シーケンサー / 侵入種 / 集団構造 / クラスタリング分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
マハゼは有用な水産資源であると同時に、アメリカやオーストラリア沿岸における侵入種でもある。本研究は、バラスト水を介して移動分散していることが懸念されるマハゼにおいて、遺伝的撹乱が生じているかどうかを明らかにすることを目標としている。最終年度は12標本集団の計90個体のRAD-seqデータを用いて集団遺伝学的解析を行った。 HiSeqによるシーケンスの結果、個体あたり約40万から600万リードのシーケンスが得られた。Stacksソフトウェアのパイプライン(ustacks, cstacks, stacks, populations)を用いてSNPマーカーの探索を行ったところ、2876個のSNPマーカーが得られた。近隣結合法によって標本集団間の類縁関係を推定した結果、それらの類縁関係は地理的距離と関連していた。また、ADMIXTUREソフトウェアによるクラスタリング分析を行ったところ、それぞれの標本集団が異なるクラスターに振り分けられる傾向が観察され、mtDNAよりも高精度に遺伝的分化を捉えることができた。2つのクラスターを想定した場合、おおよそ太平洋側と日本海側の標本集団に対応するクラスターに振り分けられ、日本海南部と関門海峡、瀬戸内海周辺の標本集団でこれらのクラスターの混合が観察された。 仮にバラスト水による遺伝的撹乱が生じていた場合、このような地理的距離と関連した集団構造は検出されないと考えられる。したがって、本研究で明らかとなったマハゼの集団構造は、本種においてバラスト水による遺伝的撹乱が生じていないことを示唆している。
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