2014 Fiscal Year Research-status Report
猫におけるインクレチン関連薬が糖代謝およびインスリン分泌に与える影響の検討
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26850201
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
森 昭博 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 講師 (60549559)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | インクレチン / 肥満 / 糖尿病 / 猫 |
Outline of Annual Research Achievements |
正常猫においてインクレチン関連薬の効果を検討するため、まず正常猫において血糖値、インスリンおよびインクレチン(GIPおよびGLP-1)分泌の上昇を引き起こしやすい炭水化物を決定した。炭水化物の種類として、グルコース、トレハロース、マルトースおよびコーンスターチを用いた。その結果マルトースが猫において血糖値やインスリンを最も上昇させやすいということがわかった。その後、正常猫に対してインクレチン関連薬である、DPP-4阻害剤であるシタグリプチンを投与した。またその他の経口血糖降下剤として猫において一般的に投与されているαグルコシダーゼ阻害薬である、アカルボースを投与した。与えるフードは、ドライフードとし、それに加えウェットフードに混ぜたマルトースを給与した。無投与、シタグリプチン投与、アカルボース投与およびシタグリプチン+アカルボース併用を正常猫にランダムに投与した。その結果シタグリプチン+アカルボース投与で無投与と比べて食後の血糖値、インスリン、GIP曲線の曲線下面積が有意に低下した。一方食後のGLP-1曲線の曲線下面積が有意に上昇した。また、シタグリプチン単独投与でも無投薬と比べ食後のGIP曲線の曲線下面積が有意に低下し、GLP-1は有意に上昇した。正常猫においてもシタグリプチンはインクレチン分泌に大きく影響を与え、さらにアカルボースを併用すると、血糖値やインスリン濃度にまで変化をもたらすことがわかった。これらの薬剤は今後糖尿病の猫にも用いることができるようになるかもしれない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までにおいて、正常猫においてインクレチン関連薬を投与した際のインクレチン分泌の検討を行った。今後は肥満や糖尿病の猫においても様々な検討を行っていく。そのため現在のところ、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに正常猫の検討を行ってきた。今後は肥満や糖尿病の猫において、インクレチン関連薬が食後の血糖値やインスリン値および実際のインクレチン分泌(GIP,GLP-1)にどのような影響を与えるのかを検討する。正常猫よりもより臨床現場に近い症例で検討を行うことで、インクレチン関連薬が獣医臨床で用いることができるのかを検討していく。
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Causes of Carryover |
キットなどを購入したが、前年度に必要な分はすべて購入したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新たな研究を始めるため、今年度再びキットなどが必要となる。前年度に買ってしまうとロットが異なったり、使用期限が切れてしまったりと、デメリットが生ずるため。
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Research Products
(2 results)