2015 Fiscal Year Research-status Report
神経堤細胞の制御分子を標的にした騒音性難聴予防法の開発
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26860089
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
後藤 裕子 中部大学, 生命健康科学部, 助手 (80722090)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ラセン神経節 / 騒音 / 内耳 / 難聴 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】本研究は、内耳のラセン神経節に発現する神経堤細胞の制御分子である分子Eに注目し、将来的にこの分子を標的にした聴覚障害の予防法の開発する事を目標に、騒音等の環境因子が誘発する聴覚障害の発症機序の解析を進めている。本年度も、分子Eの活性に影響を及ぼす可能性のある環境因子として、ネオニコチノイド(NN)系農薬曝露と聴覚障害の関連に注目した。これまでに、NN系農薬の受容体であるnAChRは哺乳類の内耳にも存在している事が報告されており、神経系細胞株において神経堤細胞の制御分子の1つであるSox10により発現が制御される事が報告されている(Liu et al., 1999)。昨年度は、NN系農薬の1つであるアセタミプリドを10mg/kg/dの用量でマウス(C57/BL6系統、オス、4週齢、n=16)に4週間飲水投与し、有意に聴力が低下する周波数があることを明らかにした。今年度は、さらに長期間の農薬曝露を行い聴覚障害への影響を検討すると共に、NN系農薬が聴力低下を引き起こす要因として酸化ストレスレベルについて着目し、検討を行った。【結果】NN系農薬の1つであるアセタミプリドを10mg/kg/dの用量でマウス(C57/BL6系統、オス、4週齢、n=16)に8週間飲水投与し、8週投与後に聴性脳幹反応(ABR)測定を実施した所、聴力レベルの有意な低下は見られなかった。また、内耳における酸化ストレスレベルの測定を行ったが、農薬曝露による有意な上昇はこれまでのところ観察できなかった。【今後の検討課題】NN系農薬曝露による酸化ストレスレベルの変化についてさらに検討を進めると共に、内耳の分子Eおよびリガンドの発現レベルに対する、騒音あるいはNN系農薬等の環境因子曝露の影響を解析する。分子Eトランスジェニックマウスを用いて、環境因子が誘発する聴覚障害の予防効果を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
得られた成果は予想に反するものであったが、実験系自体は機能している為。
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Strategy for Future Research Activity |
内耳の聴神経系の維持に関わる分子群の発現・活性を制御出来る化合物の選定をいくつかの投与法で進め、騒音性難聴発症の予防薬の開発をマウスレベルで展開する。
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Causes of Carryover |
分子Eの発現解析を行う予定であったが、酸化ストレスレベルの測定に変更したため、物品費の使用が予定より減少した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度はデータ取得と解析をさらに推進するため、人件費の比重を大きくする予定である。
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Research Products
(1 results)