2014 Fiscal Year Research-status Report
不全心における胎生期遺伝子再発現が心筋ギャップ結合の発現・分布・機能に及ぼす影響
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26860215
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
高成 広起 大分大学, 医学部, 助教 (70723253)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | コネキシン43 / コネキシン40 / CaMK-II |
Outline of Annual Research Achievements |
野生型マウスに大動脈縮窄(TAC)手術を加えたマウスでは、非手術群に比べて心室筋ギャップ結合蛋白コネキシン43(Cx43)の発現が著しく低下し、心筋組織の興奮伝播速度が著しく低下した。しかしII型カルモデュリン依存性蛋白キナーゼ(CaMK-II)の抑制ペプチドを強制発現させた遺伝子改変マウス(AC3-I)にTAC手術を加えても、非手術AC3-Iマウスと比べてもCx43の発現や興奮伝播速度が維持されていた。この研究結果については、これまでに行ってきたin-vitro実験の結果と組み合わせて論文投稿中である。 心室筋でCx43の発現に関わる可能性がある転写因子として、CREBおよびSP1を新たに抽出した。新生仔ラット心室筋培養においてCREB/SP1を活性もしくは不活性化した場合のCx43発現が変化することを見出した。現在、siRNAを用いたノックダウン実験などによる詳細なメカニズムの検証を行っている。 さらに、心房組織でギャップ結合を構成するコネキシン40蛋白(Cx40)の発現が、脂質負荷を加えたマウスにおいて著しく減少し、同マウスにおいて心房細動の誘発頻度が増加することを見出した。これまで炎症や酸化ストレスによって心房組織のリモデリングを生じた結果として心房細動が発生すると考えられてきたが、脂質負荷では炎症性マーカーや酸化ストレス反応とは別のメカニズムでCx40の発現が変化して心房細動を生じることを新たに見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CaMK-II抑制によるCx43発現の増加に関しては、これまで行ってきたin-vitro実験の結果を実験動物を用いたin-vivo実験で検証できた形で、論文投稿にこぎつけている。CaMK-IIによるCx43発現制御のメカニズムはこれまでに充分には解明されていなかったが、今回新たにCREBとSP1が関与している可能性を見出した。 さらに、研究範囲を心房筋に広げ、臨床で最も高い頻度で見られる不整脈の心房細動に関連するCx40の発現がコレステロールによって修飾を受けることを見出した。これまでにコレステロールが心房のCx40発現を抑制するという学会報告は散見されてきたが、メカニズムは不明であった。我々の研究によって、コレステロールによるCx40発現の変化は炎症や酸化ストレスとは異なるメカニズムである可能性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
Cx40/Cx43を細胞膜に輸送する微小管が様々な外的因子によって制御を受け、細胞膜上の蛋白発現を変化させていると仮説を立て、微小管を構成するTubulin蛋白にGFP標識したレンチウィルスを用いた実験の準備を進めている。心筋由来細胞であるHL-1細胞もしくは新生仔ラット心室筋の培養細胞にレンチウィルスを感染させ、CaMK-II阻害剤やコレステロール負荷によってTubulin-GFPの伸長・短縮が影響を受けるか確認する予定である。また転写因子CREB/SP1が実際にCx40/Cx43の発現に関与しているか、クロマチン免疫沈降法やsiRNAを用いたノックダウン実験などを行って詳細に検討する予定である。
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Causes of Carryover |
購入予定であった試薬(WB用抗体)が在庫切れのために年度内に入荷できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度に同試薬を注文して購入する。
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Research Products
(3 results)