2015 Fiscal Year Annual Research Report
Siglec-7と認識糖鎖の結合による癌の悪性形質増強と免疫監視逃避機構の解析
Project/Area Number |
26860320
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
橋本 登 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究機関研究員 (90712365)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 糖鎖 / 癌 / 免疫 / 免疫監視機構 / 質量分析 / シアル酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
Siglec-7が認識する糖鎖のキャリア分子上のリガンド糖鎖の特異性及びその相互反応に基づく免疫細胞側及び癌細胞側へのシグナルを解析し、免疫監視逃避機構を明らかにするために以下の検討を行った。 これまでに同定したSiglec-7リガンド糖鎖キャリアタンパク質とSiglec-7との結合を亢進させるシアル酸転移酵素をもとに作成したシアル酸再構成タンパク質の質量分析による糖鎖構造解析を行った。その結果、内因性のSiglec-7との結合が非常に強く見られるタンパク質から特徴的な糖鎖構造を持つペプチド断片が同定された。また、それらタンパク質から糖鎖を切り出し、糖鎖単体での質量分析でもその特徴的な糖鎖構造が同定された。この糖鎖構造はこれまで報告されていない新規の糖鎖構造であった。さらに、Siglec-7と相互作用する分子のプロテオーム解析によりさらに2つの分子を同定し、4種のタンパク質がSiglec-7のリガンド糖鎖を持つことがわかった。 一方、すでに我々の研究でこのリガンド糖鎖がSiglec-7発現U937細胞においてSiglec-7のITIMモチーフのリン酸化レベルの亢進が見られていたが、さらにチロシンホスファターゼSHP-1をITIMへリクルートしリン酸化レベルを亢進させ活性化させていることが見出された。このことから、癌細胞上のリガンド糖鎖がSiglec-7を介し免疫細胞内へ抑制シグナルを伝達していることがわかった。 以上、この研究で新規に同定されたSiglec-7リガンド糖鎖は癌細胞上に発現することで免疫細胞からの攻撃を免れる機能を持つことがわかり、さらにそのキャリア分子からの癌細胞へのシグナルで癌の悪性度を増強することが示唆された。現在これらの結果をまとめ論文作成中である。
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Research Products
(5 results)