2014 Fiscal Year Research-status Report
S100A8およびS100A9のアトピー性皮膚炎における役割の解明
Project/Area Number |
26860326
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中島 沙恵子 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (70574408)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / S100A8 / S100A9 |
Outline of Annual Research Achievements |
アトピー性皮膚炎(Atopic dernatitis: AD)の病変部では、掻爬行動などの刺激により表皮角化細胞でのS100A8、S100A9およびS100A8/A9複合体の発現が亢進しており、分泌されてautocrineもしくはparacrine的に作用し、免疫細胞の皮膚局所への集蔟、炎症の増悪・慢性化、角化細胞の異常増殖などに関与していると考えられる。この仮説を検証するためにテトラサイクリン誘導性S100A8・S100A9トランスジェニック(Tg)マウスを作製し、「表皮角化細胞の皮膚免疫への関与」という観点からのAD病態の解明、およびそれに基づく新規治療法の開発を目指し研究を開始した。 本年度、我々は、Tet-onシステムを利用したS100A8、S100A9Tgマウスを作製し、さらにK5-rtTAマウスと交配することにより表皮角化細胞特異的S100A8、S100A9Tgマウスを作製した。現在テトラサイクリン投与により実際に表皮角化細胞特異的な過剰発現が誘導されるか検討を行っているところである。 更に我々は、表皮角化細胞から分泌されたS100A8およびS100A9が皮膚免疫担当細胞に影響を及ぼす可能性を検討するために、まず、マウス骨髄から試験管内で誘導した樹状細胞(bone marrow derived dendritic cells: BMDC)がそれぞれの受容体を発現しているかどうかを検討し、さらにリコンビナントS100A8、S100A9蛋白を添加し、樹状細胞活性化因子が誘導されるかどうかについて、mRNAレベルでの検討を行った。定量PCR法により、マウスBMDCはS100A8およびS100A9それぞれの機能受容体を発現していることが確認できた。また、BMDCはS100A8およびS100A9の添加によりその活性化を示唆するサイトカイン産生レベルの増加が確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、今年度にトランスジェニックマウスの作製を行う予定であったため、おおむね予定通りであると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度にはS100A8/S100A9ダブルTgマウスの作製、さらにはin vivoマウスADモデルを用いた検討を行っていく予定である。
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