2014 Fiscal Year Research-status Report
Wnt5a陽性乳癌の薬剤耐性獲得機構の解明と制癌療法への応用
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26861049
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
梶谷 桂子(滑川桂子) 広島大学, 大学病院, 医科診療医 (30700041)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Wnt5a / 乳癌 / 薬剤感受性 |
Outline of Annual Research Achievements |
Wnt5は、Wntシグナル伝達経路の中のβカテニン非依存性経路の代表的なリガンドであり、様々な癌で予後、悪性度との関連が報告されている。申請者らは、乳癌病理検体の免疫染色により、乳癌全体の約35%にWnt5が過剰発現していることを確認しているが、Wnt5の発現が乳癌の予後や治療感受性、抵抗性獲得に与える意義については明らかになっていない。本研究では、Wnt5陽性乳癌細胞株を用いて、ホルモン治療、化学療法、分子標的治療、抗Wnt5a治療などの感受性、治療抵抗性を明らかにし、臨床治療に応用することを目的としている。 1)Wnt5の発現と既知の予後因子、サブタイプとの関連を解析する。 乳癌病理検体200例に対して、予後・悪性度に関与する因子であるKi-67、核異型度、リンパ節転移、ER、HER2と、Wnt5aシグナルに関するWnt5a,ALCAM,βーカテニンとの関連を解析した。我々が行った抗Wnt5a抗体による免疫染色によると、浸潤性乳癌全体の42%がWnt5a陽性であり、浸潤性乳管癌では42%、浸潤性小葉癌では43%にWnt5aの発現を認めた。ER発現とWnt5a発現の間には、有意な相関を認めたが、HER2の発現には相関がなかった。ER陽性乳癌においては、リンパ節転移や核異型度、脈管侵襲とWnt5a発現との間には相関があり、Luminal乳癌においてはWnt5aの発現と悪性度の間には相関があると考えられる。 2)Wnt5a発現乳癌細胞株を使い、既知の乳がん関連シグナルと伝達経路の活性変化やAKCAMを介したWnt5aによる乳癌悪性化のメカニズムを解析する。 ・申請者らが樹立したWnt5a発現乳癌細胞株とコントロール株を用い、①Wnt5a関連シグナル伝達経路であるPKC, JNK, ②乳癌関連シグナル伝達経路であるRas-MAPK経路、PI3K-AKT0mTOR経路、ER経路、HER-2経路、③ALCAMを介した新規Wnt5シグナル伝達経路のシグナル変化を調べ、Wnt5aによる悪性化のメカニズムを解析する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々が行った抗Wnt5a抗体による免疫染色によると、浸潤性乳癌全体の42%がWnt5a陽性であり、浸潤性乳管癌では42%、浸潤性小葉癌では43%にWnt5aの発現を認めた。ER発現とWnt5a発現の間には、有意な相関を認めたが、HER2の発現には相関がなかった。ER陽性乳癌においては、リンパ節転移や核異型度、脈管侵襲とWnt5a発現との間には相関があり、Luminal乳癌においてはWnt5aの発現と悪性度の間には相関があると考えられる。
また、申請者らが樹立したWnt5a発現乳癌細胞株とコントロール株を用い、現在、Wnt5によるALCAM発現のメカニズム解析や乳癌関連シグナル伝達経路との関連を検討中である。 最近になり、他の研究者から、JNKを介したβーカテニン非依存性シグナルによるALCAMの転写亢進が報告され、重要なメカニズムとして我々も追試中である。他のシグナル伝達経路では、乳癌関連シグナル伝達経路であるRas-MAPK経路、PI3K-AKT0mTOR経路、ER経路、HER-2経路などとWnt5a発現との関連は見出されておらず、今後はWnt5a→JNK→ALCAMシグナルの解析を中心に行いたい。
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Strategy for Future Research Activity |
Wnt5a→JNK→ALCAMシグナルの解析が一段落すれば、乳癌治療薬耐性の検討へと移っていく。Wnt5a発現乳癌細胞株を用いWnt5a陽性乳癌に最も効果的な薬剤濃度、薬剤の組み合わせ、および治療期間を決定する。単剤、あるいは複数薬剤の組み合わせや、濃度、期間を変えてWnt5a陽性乳癌に最も効果的な薬剤治療を検討する抗Wnt5a抗体、RNAiなどによる新規抗Wnt5a治療開発の基盤を構築する。その際のシグナル伝達経路の変化もウエスタンブロットなどで解析する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は主に培養細胞や病理検体を用いる実験であり、ウェスタンブロット用の抗体、試薬が主な経費であったため、次年度使用額が生じた。次年度はマウスを用いた実験に進む予定であり、使用する金額は増える予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
病理検体、培養細胞を用いた実験系は順調に進行しており、今後は小動物を用いた実験にシフトしていく。マウス購入費や乳がん治療薬である抗がん剤やホルモン剤などの薬品の購入など、高額な経費が増えてくる。また、成果を発表する学会発表、論文作成に研究費を投じる予定である。
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Research Products
(1 results)