2015 Fiscal Year Research-status Report
神経膠腫におけるテロメア関連遺伝子変化に基づいたバイオマーカーの探索
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26861171
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
有田 英之 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教(常勤) (60570570)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 神経膠腫 / 遺伝子変異 / 予後予測因子 / 分子分類 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度より解析症例数をさらに拡大し、国内の成人神経膠腫の初発計約950例の凍結検体抽出DNAの遺伝子解析をおこなった。遺伝子解析については、前年度からのパイロシークエンス法やサンガーシークエンス法によるIDH, TERT、MGMTの解析、MLPA法による1p19qコピー数の解析に加え、IDH野生型の腫瘍を中心にH3F3A, BRAF, CDKN2Aについてもパイロシークエンス法やMLPA法による解析をおこなった。一方、遺伝子解析をおこなった例の臨床情報(全生存期間・無増悪生存期間、治療内容など)の収集をおこなった。前年度同様、IDHとTERTの変異の有無による分子分類をおこない、予後との関係や、各分類内での特徴を検証した。その結果、1)この分子分類は病理組織型と強く相関し、病理組織型より予後が明確に異なる4群にわけることが検証された。さらに、2)IDH, TERTの共変異型腫瘍は、1p19q完全共欠失のある腫瘍をほぼ包含し、IDH-TERTの共変異型腫瘍で1p19q完全共欠失のない腫瘍も同様に予後がよいことから、従来重要な予後良好因子とされていた1p19q完全共欠失の代用マーカーとなりうること、また、3)IDH変異型腫瘍においては従来、WHO grade IV相当の腫瘍が大半を占め一様に予後が悪いと言われていたが予後の悪くない腫瘍も包含されることなど、の詳細な知見があきらかとなってきている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
テロメラーゼ逆転写酵素であるTERTプロモーターの変異のバイオマーカーとしての意義を詳細な検討を通して明らかになってきており、順調に進行していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
H28年度は、前年度までに集積された臨床情報と遺伝子解析結果を中心に、より詳細に検討をおこなう予定である。特に、TERTプロモーター変異の有無は他の一部遺伝子変化の状態に応じ、臨床的意義が異なることが示唆されており、この点を多変量解析なども通して詳細に検討する予定である。
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Causes of Carryover |
DNA解析試薬およびデータ保存用ハードディスクは必要時に順次購入しているため、解析にあたり繰越金が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H28年度の研究計画は、H27年度の実施研究計画の継続内容と、さらに発展的内容も含まれる。延長申請に伴う前年度からの繰越金は、解析試薬の購入とデータ保存設備の購入必要に充てる。また、新たな知見の解析結果報告のため、米国脳腫瘍学会やInternational Conference on Brain Tumor Research and Treatementへの参加を予定しており、これに対する費用などにも充当する予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] IDHとTERTによる成人神経膠腫の分子分類~国内多施設大規模コホートの解析からの追跡報告2015
Author(s)
有田 英之,山崎夏維,小林啓一,白畑充章,高見浩数,高柳俊作,中村大志,吉田俊,沖田典子,田村郁,深井順也,森鑑二,正札智子,児玉良典,森内秀祐,宮北 康二,大野 誠,田中將太,武笠 晃丈,橋本直哉,寺川雄三,露口尚弘,藤田浩二,友金祐介,埜中正博,金村米博,澁谷誠,鈴木博義,前原健寿,川原信隆,永根 基雄,植木敬介,西川亮,小森隆司,成田善孝,市村幸一
Organizer
第33回日本脳腫瘍学会学術集会
Place of Presentation
グランドプリンスホテル京都
Year and Date
2015-12-06 – 2015-12-08
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[Presentation] Molecular classification based on IDH1/2 and TERT promoter well-defines subgroups with different outcome in adult diffuse gliomas: A report from Glioma Molecular Classification Consortium.2015
Author(s)
Arita H, Yamasaki K, Matushita Y, Nakamura T, Shirahata M, Tamura K, Terakawa Y, Fukai J, Mukasa A, Suzuki H, Shibuya M, Kanemura Y, Yoshimine T, Saito N, Nagane M, Ueki K, Komori T, Nishikawa R, Narita Y, Ichimura K
Organizer
20th annual scientific meeting and education day of the Societry for Neuro-Oncology
Place of Presentation
Marriott River Center Texas, USA
Year and Date
2015-11-19 – 2015-11-22
Int'l Joint Research
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[Presentation] IDHとTERTによる成人神経膠腫の分子分類~国内多施設大規模コホートの解析より2015
Author(s)
有田 英之, 山崎 夏維, 松下 裕子, 中村 大志, 田村 郁, 白畑 充章, 武笠 晃丈, 金村 米博, 小森 隆司, 永根 基雄, 植木 敬介, 吉峰 俊樹, 西川 亮, 成田 善孝, 市村 幸一, グリオーマ分子診断 共同研究グループ
Organizer
一般社団法人日本脳神経外科学会 第74回学術総会
Place of Presentation
ロイトン札幌
Year and Date
2015-10-14 – 2015-10-16
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