2014 Fiscal Year Research-status Report
全身炎症反応症候群に対するアスタキサンチンの効果に対する研究
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26861226
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
武部 真理子 富山大学, 大学病院, 助教 (10725401)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アスタキサンチン / 全身炎症反応症候群 / 急性肺障害 / 炎症性サイトカイン / 敗血症 |
Outline of Annual Research Achievements |
全身性炎症反応症候群(SIRS)に対するアスタキサンチンの効果を調べるにあたり、まずSIRSの前段階として、局所炎症である腸炎を対象として研究を開始した。 Balb/cマウス(7週齢、オス)にアスタキサンチンもしくはコントロールとしてオリーブオイルを2週間強制経口投与した後、5-FU腹腔内投与により腸炎を惹起した。5-FU投与から5日後の腸組織を採取し炎症性サイトカインのmRNA発現を調べたところ、アスタキサンチン投与群において有意な低下を認めた。 次に、同様にアスタキサンチンを強制経口投与したマウスで、5-FU腸炎誘導2日後の腸組織において免疫染色を行った。terminal deoxynucleotidyl transferase dUNP-mediated nick-end labeling(TUNEL)染色による細胞のアポトーシスに有意な変化はなかったが、Ki67染色により、アスタキサンチン投与群で陰窩細胞の増殖が亢進していることがわかった。 一方、ヒト結腸癌細胞由来の細胞株であるCaco-2 , HCT116 に対してアスタキサンチンを作用させたところ、炎症性サイトカインのmRNA発現には有意な変化を認めなかったが、活性酸素種(ROS)の産生をわずかに減少させていることがわかった。 以上の結果から、アスタキサンチン投与によって、腸炎における炎症性サイトカインの発現が減少する機序として、ROSや細胞増殖の関与が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アスタキサンチン含有の食餌ではマウスの摂食量が増加するため、アスタキサンチンの投与量のコントロールに難渋した。最終的に強制経口投与を行うことで正確に投与できた。 また、腸組織は関空臓器であるため、組織の固定にもやや習熟が必要であった。
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Strategy for Future Research Activity |
アスタキサンチン投与によって、腸炎における炎症性サイトカインの発現が減少する機序をより詳細に検討する。 現在までは局所炎症モデルでの検討であったが、今後は敗血症モデルを用いて全身炎症に対する効果を検討する。
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Causes of Carryover |
近県での学会・研究会が多く旅費の使用が予想より少なかったため、予定使用額に達しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後海外学会での発表も視野に入れているため、その際の旅費等に使用する。
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