2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26861535
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
高橋 甚彌 久留米大学, 医学部, 助教 (30647813)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 急性心筋梗塞 |
Outline of Annual Research Achievements |
急性心筋梗塞(AMI)の急性期死亡率が経皮的冠動脈形成術(PCI)等の初期治療の進歩により著しい改善が得られた一方、心筋梗塞後に起こる炎症反応やリモデリングにより心筋障害は慢性期にも進行し心機能低下、心不全を発症しその予後は不良である。よって本研究の目的は、急性心筋梗塞における過剰な免疫反応を抑制する事で、心筋炎症を抑制しその障害を抑制する事である。Tregは樹状細胞等の抗原提示細胞上の刺激を抑制する事で、免疫抑制の中心的機序である事が判っている。心筋梗塞における炎症制御の重要性が示唆され、また免疫応答の制御機構における Tregの重要性が示される一方で、心筋梗塞における Tregの役割は不明な点が多い。Treg 欠 損 ( DEREG:depletion ofregulatory T cel l)マウスを用いて心筋梗塞後の炎症、細胞死、慢性期リモデリング抑制の効果、メカニズムを解析する。MIモデル作成後 3 日で心臓を摘出し RT-PCR を実施した結果、Sham と比較してTregの分化誘導因子である Foxp3の発現亢進が見られた。心筋梗塞後の炎症の病態にTregが深く関係していると考えられた。しかし、心筋梗塞後の梗塞範囲、リモデリングの程度の評価を行った結果、Treg欠損マウスとコントロール群間に有意差は認めなかった。そこで、同様に免疫細胞を抑制するサイトカインであるIL-10に注目し、その中でもIL-10ファミリーサイトカインであるIL-22に注目した。IL-22は多臓器において組織保護作用の報告が見られるが、心臓に関しての報告はほとんどない。マウスにIL-22を投与した結果、コントロール群に比較し有意にSTAT3の活性化を認めた。このことは心臓にも組織保護効果を発揮することを強く示唆する所見であり、実際に心筋梗塞マウスにIL-22を投与すると梗塞範囲が減少する傾向を認めている。現在nを重ね、そのメカニズム解明を試みているところである。
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Research Products
(2 results)