2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26861760
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
吉川 恭平 兵庫医科大学, 医学部, 病院助手 (00727480)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | シスプラチン耐性 / Hippo pathway / YAP / siRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔扁平上皮癌の治療にシスプラチンは頻用されているが、しばしば耐性獲得が問題となり、治療に難渋することがある。シスプラチンを用いた化学療法の治療成績の向上には、耐性克服が重要な意味を持ち、そのためにはまず新たな耐性機序の解析が必要と考えられる。本研究ではこの点を目的とし、新たな機序として、近年薬剤耐性への関与が報告されているHippo pathwayに着目し、作成したシスプラチン耐性細胞を用いて、シグナルの中心を担うYAPの発現と機能解析を行った。ウェスタンブロッティング法でHippo pathway関連タンパクの発現を検討した結果、3種類の耐性細胞(SCCKN-R,HSC-3-R,OSC-19-R)のうち、OSC-19-Rにおいて、YAPの核内移行が亢進していることが示唆され、さらに免疫染色を行った結果、OSC-19-RではYAP発現が核内で亢進していることが確認された。さらにsiRNAを用いてYAPをノックダウンさせると、シスプラチン感受性が有意に増大することが確認された。つまり、YAPが耐性獲得に関与しており、ノックダウンすることで耐性の克服につながる可能性が示唆された。本研究計画で記した新たな耐性機序として、Hippo pathwayの関与が示唆され、これにより、今後シスプラチンを用いた化学療法を行う上で、その有効性の予測や耐性克服といった点で、本研究成果が重要な新知見となりうると考えられ、意義のある成果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究において、口腔扁平上皮癌におけるシスプラチン耐性メカニズムとして、Hippo pathwayという新たな機序が関与する可能性が示唆されたことにより、シスプラチンを用いた化学療法を行う上で、その有効性の予測や耐性克服という点において、本研究テーマに即した成果が得られていると考えられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
口腔扁平上皮癌のシスプラチン耐性メカニズムとして、新たにその可能性が見いだされたHippo pathwayにおいて、耐性機序として確立するために、shRNAを用いたYAPのノックアウトや、ヌードマウスを用いたin vivoの追加実験を行い、シスプラチン感受性がどう変化するかを検証していく。
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Causes of Carryover |
本年度内での研究で一定の成果が生じたため、その段階で論文を作成した。そのため、事前の計画よりやや早い段階で本年度の研究を終えることができ、若干の残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度分と併せた予算を用いて、in vivoとin vitroの両方から追加実験を行い、さらにシスプラチン耐性機序の解析を進めていく。
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