2015 Fiscal Year Research-status Report
現代モンゴルにおける人と宗教の移動に伴う新たな共同体形成に関する宗教社会学的研究
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26870051
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
滝澤 克彦 長崎大学, 多文化社会学部, 准教授 (80516691)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 宗教社会学 / モンゴル研究 / 人口移動 / 宗教の越境 / 福音派 / 民族主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、モンゴル国および韓国における現地調査を実施し、人の移動と宗教によって取り結ばれる新たな共同体の実態と特徴について明らかにした。 8月22日~25日に実施した韓国における現地調査では、モンゴル人教会の活動に関する参与観察調査を行い、彼らの宗教生活の実態を明らかにした。また、8月27日~9月3日に実施したモンゴル国における現地調査では、ウランバートルのキリスト教会において教会活動の参与観察調査を行い、キリスト教の国際的なネットワークとそれにもとづく活動が、本国における宗教活動と意識に及ぼしている影響について明らかにした。さらに、2月7日~9日に実施した韓国における現地調査では、在韓モンゴル人教会によって開催された正月を祝う特別礼拝に参与観察調査し、異邦で行われる伝統的行事において彼らの宗教意識と民族意識がどのような関係にあるかを分析した。 これらの現地調査および関連資料の分析を通して、異邦における宗教生活が新たな民族意識にもとづく連帯感を醸成し、モンゴル国のモンゴル人のみならず、ブリヤートや内モンゴルを含めた広い意味での「モンゴル民族」のネットワークを形成しつつあることが明らかになった。以上の研究成果を学会および研究会において報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定していた在米モンゴル人の宗教生活に関する現地調査を、調査者および被調査者のあいだの日程調整ができなかったため実施できなかった。その代わりに、韓国在住モンゴル人の宗教生活に関する現地調査を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、今年度実施できなかった米国での調査を改めて実施する。また、モンゴル国および韓国における現地調査を今年度に引き続き行う。 米国および韓国では、現地に在住するモンゴル人の宗教生活と、それに基づき形成されるコミュニティの様態を明らかにすると同時に、外国での宗教生活が彼らの民族的アイデンティティに及ぼしている影響を分析する。 モンゴル国では、国際的な宗教的ネットワークが国内の組織に及ぼしている多層的な影響や、民族的アイデンティティとの関連について調査する。 以上の研究成果を、学会及び学術雑誌において発表すると同時に、モンゴル国の研究者を含めたワークショップを実施する。
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Causes of Carryover |
予定していた在米モンゴル人の宗教生活に関する現地調査を、調査者および被調査者のあいだの日程調整ができなかったため実施できなかった。その代わりに、韓国在住モンゴル人の宗教生活に関する現地調査を行ったが、その差額分が次年度使用額となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額を、当初本年度に予定していた米国における現地調査を今年度実施する際の調査費に充てる。
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Research Products
(4 results)