2015 Fiscal Year Research-status Report
昆虫の翅にみられる折りたたみ・展開機構を応用した革新的展開構造の創成
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26870125
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
斉藤 一哉 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (40628723)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 展開構造 / スマート適応構造 / 甲虫類 / ハネカクシ / テントウムシ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,甲虫目や革翅目を初めとするオリッタミ方の後翅をゆうする昆虫の翅の展開・収納行動をハイスピードカメラ3次元計測技術を用いて詳細に観察し,折紙の幾何学を用いて翅のデザインを弾性力学的観点から説明する新しい折り畳みモデルを提案することで,革新的な展開構造を創成することにある.2年目にあたる平成27年度は,ハネカクシ,テントウムシを中心に,後翅の構造のX線CT,3Dスキャナによる解析,及び解剖学的研究を中心に行った. 平成27年度煮えられた最大の成果は,ナナホシテントウの詳細な折り畳みプロセスを明らかにした事である.テントウムシの後翅は,発達した翅脈に支えられた高い強度・剛性と高い収納効率を併せ持つため工学的に重要性が高いターゲットであり,この折りたたみの謎を解明したことは,大きな意義がある.さらにカブトムシとテントウムシの折り畳みパターンを比較してBistable性を説明する幾何学モデルの開発を行った.折り畳みに必要な可変性と,飛行に必要な強度・剛性をどうやって両立するかという点で,カブトムシとテントウムシは異なる方式を採用している.カブトムシは,翅脈の変形の回転軸を飛行に影響がない方向に拘束しており,テントウムシはバイステイブル型の梁構造で翅を支えている.これらのを原理を説明する簡単な折紙モデルを作成することで,工学応用の道筋を付けることができた. また異分野連携も積極的に行い,昆虫学会での発表や,他分野における執筆活動を通して,ネットワークをさらに広げることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
X線CT,3Dスキャナによる立体計測技術の確立と,幾何学モデルの開発において重要な進展があり,研究目標を達成するための道筋がついた.さらにテントウムシの研究において人工鞘翅の移植による内部構造観察など,画期的な手法が確立できたため,当初の計画以上に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
現時点で大きな変更点は無く,今後も当初の計画通りに研究を推進する.
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Research Products
(10 results)