2015 Fiscal Year Research-status Report
大学研究力強化のための分析指標および研究戦略プロセスモデルの提案
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26870226
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
鳥谷 真佐子 金沢大学, 先端科学・イノベーション推進機構, 助教 (90420819)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 研究評価 / 研究戦略 / 大学評価 / 評価指標 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,1.研究力向上を導く戦略策定のための研究力分析指標提案、2.研究戦略策定・実施のプロセスモデル提示を試み、大学における研究戦略策定・実施方法を体系化することにある。本年度は,現在用い要られている国内外の研究力分析指標に焦点をあて,調査を行った。国内では,平成25年度に研究大学強化促進事業の採択校決定に際して,研究に関連する10の指標に基づく研究機関の数値評価が行われた。海外では,特に英国において,研究評価が重視されている。英国では,1986年からResearch Assessment Exercise(RAE)という研究評価に基づく運営費交付金の配分がなされており,2014年からはResearch Excellence Framework(REF)という新たな評価システムが始まっている。今回はREFによる調査が大学の研究力および研究戦略策定にどのような影響を及ぼしたかを調査した。調査対象として,REF2014評価ポイントランキングにおいて,2008年度の調査から大幅にランキングを上げた大学を抽出した。評価指標に関する英国国内での議論については,HEFCEによる報告書やその他文献を調査した。英国国内の議論では,数値による評価そのものが手法として未成熟であるため研究評価に直接用いることはできないという結論に至っており,そのため各分野におけるピアレビューで評価を行うことが重視されている。論文引用数などの数値による評価は,あくまでピアレビューのための参考である。また,各大学の大学評価・研究戦略担当者へのインタビューでは,評価による研究戦略の影響として,評価でポイントを取れる研究者のヘッドハンティング,学部の統廃合,共同研究促進のための研究者の長期派遣,それを支える仕組みとしての研究または教育系教員の2トラック制度と教員評価の確立などが挙げられた。さらい国および大学両者において,評価が英国全体の研究力強化に繋がっているという認識を持っていることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究目的は,どのような定量的な研究力分析方法および評価指標が研究力強化に結びつくのか,またそのプロセスの課題を明らかにすることにあったが,調査を進めるにあたり,定量的な評価そのものが手法として未熟であり,研究評価に用いることが適切でないということに行き当たった。そのため,対象とする研究評価手法自体から見直すこととなり,国内で行う予定であったアンケートの構成を行うまえに,長年定性的な研究評価を進めてきた海外事例の調査を先に進めることとした。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の海外調査事例をもとに,国内でのアンケート調査を再構築する予定である。具体的には,国内の定量的な指標を用いた研究力評価で研究戦略に何らかの影響があったか,大学の研究戦略の策定にどのような要因が関与しているか。定性的・定量的な何らかの指標をもとに研究戦略が策定されることがあるか,研究戦略策定のプロセスはどのようなものか,その課題は何か,といったことを明らかにするアンケート調査を行う予定である。
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Causes of Carryover |
見積もりと支払額に誤差が生じたため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の物品費に加えて使用する計画である
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Research Products
(1 results)