2014 Fiscal Year Research-status Report
細菌感染により壊れた抗体を認識する新規活性化レセプターの機能と多様性
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26870334
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平安 恒幸 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任助教(常勤) (30585170)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 細菌感染 / Bacteria / Immunoglobulin / 活性化レセプター / プロテアーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
未だに感染症は人類にとって脅威でありながら、感染症の免疫制御については不明な点が多い。その要因として、機能未知の免疫関連遺伝子が未だに多数存在していることが挙げられる。そこで、機能未知の免疫レセプターと病原体との相互作用を明らかにするために、申請者は様々な免疫レセプターの組換えタンパク質を作製してリガンドの同定を試みたところ、活性化レセプターDIRが細菌によって分解・切断されたイムノグロブリン(Ig)をリガンドとして認識する可能性を発見した。N末端にタグを付けたIgを用いて解析を行ったところ、Igは細菌によってheavy chainのN末端側が分解されていることが明らかとなった。一方で、light chainは分解されていなかった。Heavy chainをN末端から短くしたIgを作製したところ、活性化DIRはheavy chainのJ regionで切断されたIgを認識することがわかった。また、ヒト末梢血B細胞から様々なIgをクローニングして解析したところ、いずれのIgも細菌によってN末端が分解切断された。活性化DIRは切断されたIgM、IgG3、IgG4に強く結合し、IgG1やIgG2には弱く結合するが、IgA1には結合しなかった。さらに、活性化DIRの免疫応答の解析を活性化DIRが発現している好中球で行ったところ、全長のIgでは好中球は活性化されなかったが切断型のIgでは殺菌に重要な活性酸素を産生するということが明らかとなった。以上の結果から、細菌は宿主の免疫から逃れるためにプロテアーゼによってIgを切断するように進化した一方で、宿主側はこの細菌の免疫逃避機構に対抗するために切断されたIgを認識する活性化DIRを進化させて生体防御に関わっている可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度に、活性化DIRの免疫応答の解析を様々な方面からアプローチする予定だったが、活性酸素の産生の解析にとどまった。これは、活性化DIRのリガンドを作製する過程において、予想外にも組換えタンパク質の産生量が少なく、プロモーターを換えるなどの工夫をする必要が生じたため、当初の計画通りに十分に進める事ができなかった。また、好中球を分離する方法の検討も必要になったため。
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Strategy for Future Research Activity |
皮膚は常に外界からの細菌の暴露にさらされ、細菌感染の好発部位であり、ときには蜂窩織炎などの重篤な合併症を引き起こす。細菌感染の炎症局所において、好中球は侵入した微生物に対し、貪食・殺菌を行う生体防御上重要な免疫細胞であるが、その際にどのようなレセプターを用いて微生物を認識するかは十分わかっていない。細菌感染局所において好中球は活性化し膿を形成するため、その膿を解析することで活性化DIR の機能解明につながることが考えられる。そこで、DIRの役割を明らかにするために細菌感染を引き起こした患者の膿(中耳炎、皮膚感染)を解析試料として用いる。
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Causes of Carryover |
研究を進めていく過程で新たに組換えタンパク質の産生量を上げる工夫や好中球を分離する方法の検討を行う必要があるなど予定外の問題が生じ、その検討に時間がかかったため当初の見込み額と執行額は異なった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、活性化DIRの免疫応答の解析を行うための器具や試薬、培養液等の消耗品に充て、当初の予定通りの計画を進めていく。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] β2-glycoprotein I / HLA class II complexes are novel autoantigens in antiphospholipid syndrome.2015
Author(s)
Tanimura K, Jin H, Suenaga T, Morikami S, Arase N, Kishida K, Hirayasu K, Kohyama M, Ebina Y, Yasuda S, Horita T, Takasugi K, Ohmura K, Yamamoto K, Katayama I, Sasazuki T, Lanier LL, Atsumi T, Yamada H, Arase H.
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Journal Title
Blood.
Volume: in press
Pages: in press
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] A motif in LILRB2 critical for Angptl2 binding and activation.2014
Author(s)
Deng M, Lu Z, Zheng J, Wan X, Chen X, Hirayasu K, Sun H, Lam Y, Chen L, Wang Q, Song C, Huang N, Gao GF, Jiang Y, Arase H, Zhang CC.
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Journal Title
Blood.
Volume: 124(6)
Pages: 924-935
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Myeloperoxidase/HLA class II complexes are targets for autoantibodies in microscopic polyangiitis.2014
Author(s)
Hiwa Ryosuke, Ohmura Koichiro, Arase Noriko, Jin Hui, Hirayasu Kouyuki, Kohayama Masako, Suenaga Tadahiro, Matsuoka Sumiko, Iwatani Hirotsugu, Atsumi Tatsuya, Terao Chikashi, Mimori Tsuneyo, Arase Hisashi
Organizer
第43回日本免疫学会学術集会
Place of Presentation
国立京都国際会館(京都)
Year and Date
2014-12-10 – 2014-12-12
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[Presentation] Autoantibodies in Rheumatoid Arthritis Specifically Recognize IgG Heavy Chain Complexed with HLA-DR, Which is Strongly Associated with Rheumatoid Arthritis Susceptibility.2014
Author(s)
Jin H, Arase N, Hirayasu K, Kohyama M, Suenaga T, Saito F, Tanimura K, Matsuoka S, Ebina K, Shi K, Toyama-Sorimachi N, Yasuda S, Horita T, Hiwa R, Takasugi K, Ohmura K, Yoshikawa H, Saito T, Atsumi T, Sasazuki T, Katayama I, Lanier LL, Arase H.
Organizer
The 15th Annual European Congress of Rheumatology EULAR 2014
Place of Presentation
Paris(France)
Year and Date
2014-06-11 – 2014-06-14
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