2015 Fiscal Year Research-status Report
国勢調査などのナショナルデータ解析による死因別健康格差の全体的評価と対策への寄与
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26870383
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
鈴木 越治 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (10627764)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 健康格差 / 社会疫学 / 環境疫学 / 自殺予防 / 因果推論 / 疫学理論 / マルチレベル分析 / ナショナルデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,わが国における自殺の地域間格差は拡大しており,その対応が急務となっている。拡大する地域間自殺格差の背景として,地域の社会経済的特性が個人の特性を超えて影響を及ぼしているのか,また影響しているとすれば,近年の地域間格差拡大に伴って影響の程度が強くなっているのかを評価している。 このような社会問題に関する適切な科学的判断を行うためには,各研究分野の理論思考を相互に統合させたデータ分析・評価方法の構築が必要不可欠である。このことを踏まえ,健康格差を評価する際に考慮すべきバイアスの性質を明らかにするために疫学・統計学理論の観点から考察を深めた。一つの点として,因果指標の一般性および重要性に関して国際学会で発表した。とりわけコホート研究ではよく知られている死亡による打ち切り(truncation by death)の状況下で因果指標をどのように定義できるかを論じるとともに,因果指標の定義を一般化するためにはターゲット集団を明確にすることが重要である点を指摘した。また別の点として,曝露がアウトカムに及ぼす全効果のうち,どの程度が仲介因子によって介在されているのかを定量的に表す指標である「proportion eliminated」についても国際学会で発表した。平成28年1月には,統計数理研究所で開催された国際研究集会「Causal Inference」にて医学分野の代表として招待講演を行った。また,疫学研究における重要な論点である交絡の四つの観念について総説論文を執筆した。これらの点は,公衆衛生政策上重要な視点である健康インパクト・アセスメントの方法論の開発・普及のほか,適切な意思決定につながるものと期待される。 平成27年12月には,本研究実績を含む「わが国における健康格差の推移と要因の評価およびバイアスの同定・制御方法の構築」というテーマで「武見奨励賞」を受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年9月,11月,平成28年3月に海外の研究協力者との会合をもち,本研究遂行について打ち合わせを行った。また,国内の研究協力者と共に,本研究の遂行およびデータ解析を適切に実施する上で必要となる疫学・統計学理論の構築を継続的に行っている。第88回日本産業衛生学会(平成27年5月,大阪),48th Annual Meeting of the Society for Epidemiologic Research(平成27年6月,デンバー),8th European Public Health Conference(平成27年10月,ミラノ),International Workshop on Causal Inference(平成28年1月,東京)など国内外の学会に参加して最新の関連研究等の情報収集および意見交換を行ったほか,研究成果の発表を行った。 データセットの作成については当初の計画より遅れているが,早急に取り掛かる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に沿って,研究協力者との連携のもと研究を遂行する予定である。特に,わが国における死因別健康格差の推移の評価のほか,健康格差の推移に関する国際間比較を評価することに注力する。
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Causes of Carryover |
物品費について,当初の計画より若干少ない金額で研究を遂行できた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度の物品費に追加し,適正に使用する。
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Research Products
(15 results)
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[Presentation] Errors in causal inference2016
Author(s)
Suzuki E, Tsuda T, Mitsuhashi, T, Yamamoto E
Organizer
4th Epidemiology Congress of the Americas
Place of Presentation
マイアミ(アメリカ)
Year and Date
2016-06-21 – 2016-06-24
Int'l Joint Research
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