2014 Fiscal Year Research-status Report
家族の“関係性としての適応”を軸とした発達精神病理学的研究
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26870536
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Research Institution | Tokyo University of Social Welfare |
Principal Investigator |
川島 亜紀子 東京福祉大学, 社会福祉学部, 講師 (20708333)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 夫婦関係 / 子ども / 家族 / ウェルビーイング / 縦断調査 / 国際情報交換(アメリカ) |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,夫婦関係の質と,子どもを含めた家族のウェルビーイングについて,多側面的,縦断的に検討することによって,共同養育や夫婦間コーピングを含めた夫婦関係の質が家族全体としてのウェルビーイングにどのように関連するのか,検討することを目的としている。 平成26年度は,平成27年度から開始する本調査のための調査内容の精査と予備調査を計画していた。これに基づき,夫婦のどちらか一方もしくはその両方がストレスを抱えているときに,どのように夫婦として取り組むかを検討する,夫婦間コーピング(Bodenmann, 1997)日本語版尺度を翻訳,再翻訳のプロセスを通して作成し,インターネットを通じたオンライン調査を実施した。その結果,わが国においても夫婦間コーピングの信頼性の高さが確認され,また夫婦の愛情関係や夫婦関係への適応とも関連することが示された。さらに,夫婦間コーピングは夫婦の抑うつ傾向の低さとも関連しており,夫婦間コーピングが夫婦のウェルビーイングに関わる可能性が示された。また,夫婦間コーピングは,子どもの両親間葛藤への反応とも関連しており,夫婦間コーピングを検討することが,子どもを含めた家族のウェルビーイングを検討していく上で有用であることが示唆された。 当該研究は,国内での学会発表(川島亜紀子・吉武尚美・松本聡子・菅原ますみ,2014)並びに,共著の一章(国際比較研究)(Kawashima & Kurosawa, in press)として報告された(共著については,平成27年度に公刊予定である)。 また,国外研究者との共同研究である国際比較研究(PACIFICプロジェクト)参加者に対する質問紙調査や,国内研究者との共同研究における質問紙調査においても,調査を実施し,測度の検討を行っており,平成27年度はこれらのデータから明らかになったことについて分析し,公表していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度に計画されていた尺度の検討(夫婦間コーピング,夫婦間葛藤時の子どもの情緒安定性,夫婦間葛藤時の子どもの認知)はほぼ完了し,縦断調査に向けた準備が整ったと考える。しかしながら,本年度に行った調査データの公表については,まだ不十分であり,平成27年度には,データの公表をより積極的に行っていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題を推進していく上での課題としては,生理学的反応をどのように測定していくかという点である。顔面温度変化を指標として取り上げていたが,近年の生理学的指標を測定する機器の発達により,それらの機器も含め,より敏感な測度を使用していくことを検討することが必要なのではないかと考えている。観察調査の実施においては調査対象者に対する負担が大きいため,より慎重な実施が必要であるため,先行研究を精査し,より良い測定方法を検討したい。
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Causes of Carryover |
調査協力者へのフィードバックと謝金の支払いが3月中に実行されなかったため,次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
調査協力者への速やかなフィードバックと謝金の支払いを平成27年度前半に行い,本年度開始する縦断調査へより多くの協力者を維持する。
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Research Products
(6 results)