2015 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム情報を中心とする医療ビッグデータの利活用における個人情報保護に関する研究
Project/Area Number |
26870572
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
藤田 卓仙 名古屋大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (80627646)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 医療個人情報 / ゲノム情報 / 医療ビッグデータ / プライバシー / 匿名化 / 要配慮個人情報 / 個人情報保護 / 個人情報保護法制2000個問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては、ゲノム情報を中心とする医療ビッグデータの3つの特殊性(1.対象情報 2.取得状況 3.情報の活用方法)に着目し、改正個人情報保護法を中心とした現行法制度下での医療情報の取り扱い及び必要な立法政策等に関する検討を行った。 1)対象情報の特殊性に関して、特にゲノム情報に関しては、一般の医療情報とは異なり、家族と共有するといった、単純な個人情報では説明できない特徴を有することや、昨今の民間での遺伝子診断ビジネスの隆盛等を鑑み、平成27年度には、特に、改正個人情報保護法によって新たに規定された「個人識別符号」「要配慮個人情報」該当性に関する検討を行った。検討は、文献調査、ヒアリング、有識者による会議開催等によって行った。また、ゲノム情報以外の医療情報一般に関して、「要配慮個人情報」である「病歴等」との関係の整理、「匿名加工情報」の規定と現場で用いられている連結可能匿名化/連結不可能匿名化との定義の整理が必要であること等が明らかとなった。 2)取得状況、3)情報の活用方法の特殊性に関連して、平成27年度における検討に際しては、我が国における近年の医療等ID(仮称)に関する議論を参考に、スウェーデンやエストニアといった、医療情報を国民ナンバーで管理している国々における法律や運用も含めて、実地での調査も含めて行った。我が国の法制度としては、特に、情報取得の際の、利用目的の示し方と、同意のとり方に関して課題があることが明らかとなった。 また、自治体の条例を含めた関連ルールが2000近く存在するという、いわゆる「個人情報保護法制2000個問題」を鑑み、医療情報の利活用に向けては、研究利用における適用例外以外に、医療目的での特別規定の必要性があると考えられた。 これらの研究成果に関しては、医療情報学会等にて報告を行い、また成果の一部は政策提言として公表を行った。
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Research Products
(2 results)