2015 Fiscal Year Research-status Report
民国期の武術におけるチャイニーズネスの構築と衝突―官/民の「国術運動」を事例に―
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26870636
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
池本 淳一 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 助教 (90586778)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 中国 / 武術 / 内容分析 / 近代化 / チャイニーズネス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では武術文化を通じたチャイニーズネスの構築過程を明らかにするために、当時の武術団体や出版社が発行した「国術雑誌」を基礎資料に、データマイニングを用いた研究を計画している。本年度は最終年度へ向けて、以下の成果を得た。 ①民国期の武術雑誌全集『民国国術期刊文献集成』未収録の巻号のデータを許義雄主編『我国近代体育報刊目録索引』から補った。加えて、入力済みデータを分析に用いるために修正しつつ、上記資料における誤植や入力ミスなども全面的にチェックしなおすことで、テキストデータを完備した。 ②当初、データマイニング専用ソフトをもちいた分析を計画していたが、中国語に未対応であったり、高額であったために使用を断念。検討の結果、中国語に対応しているExcelの関数・検索機能を応用したデータマイニングを行うことにした。 ③2015年6月5日~8日の第27回日中社会学会大会・北海道大会のシンポジウム『中国の身体とチャイニーズネス』(研究代表者が大会担当理事及びシンポジウムのコーディネイトを担当)に研究協力者の荘嘉仁副教授(台湾、中国文化大学)を招聘。戦後台湾における国術運動に関する報告を行っていただき、戦前・戦後にかけて展開した国術運動の総体としての矛盾や問題点に関する知見を得た。さらに荘副教授からは戦前の国術運動研究に関する情報及び一次資料も提供していただいた。加えて本シンポジウムをきっかけに、国内若手の中国近代史研究者らとともに、「身体」をキーワードとする研究会を発足することとなった。 ④2016年2月23日~2月26日に台湾の国立図書館、武術専門出版社である逸文出版社において国術関係の資料を収集。また現地にて荘副教授と研究交流を実施。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度に資料購入が遅れたことに加え、『民国国術期刊文献集成』欠号分のデータの追加及び中国語によるテキストマイニング手法の確立、そして本年度の後半から他大学への転出のために多忙となったこと等の理由により、当初予定していた学会発表を行うことができなかった。しかし一方では、シンポジウムを通じた民国史及び身体論に関する知見の摂取、研究協力者である荘嘉仁副教授との研究交流を通じて、最終年度における研究成果の総括の準備は十分に整えることができた点で、来年度には十分に後れを取り戻せるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
①6月に開催される第28回日中社会学会大会において、本研究成果を用いた学会発表を実施。 ②9月に開催予定の台湾における「台湾身体文化学会」において発表を実施。 ③主に中国史を専門とする研究者と、「身体」をキーワードとした研究会を立ち上げ、歴史学の視点からも「チャイニーズネスと身体」についての知見を深める。 ④これら学会発表・研究会の成果をもとに研究成果を総括し、研究実績報告書を作成する。 ⑤研究実績報告書を元に、投稿論文の執筆準備を進める。
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Causes of Carryover |
台湾での図書購入・資料の複写代として、ある程度の予算を用意していたが、未使用分が残ってしまった。また台湾への研究出張が年度末であったため、そのまま次年度に繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これまで武術関係の図書は購入したが、民国史・身体論関係の図書はほとんど購入していなかった。本年度の未使用額は、それらの図書の購入に充てる計画である。
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Research Products
(1 results)