2017 Fiscal Year Research-status Report
ヨーロッパの多文化社会における子どもへの性的虐待防止に関する社会学的研究
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26870705
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
見原 礼子 長崎大学, 多文化社会学部, 准教授 (70580786)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ヨーロッパ / セクシャリティ教育 / 多文化社会 / イスラーム / 子ども虐待防止 / オランダ / ベルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の主な目的は、ヨーロッパにおける移民たちの文化圏や宗教コミュニティ内で、性的虐待・暴力問題はどのように捉えられ、いかなる対応が必要とされ、またいかなる取り組みが進められてきたのかという問いを特にムスリムのコミュニティに着目して検討することであった。 昨年度の重要な研究成果の一つとして、オランダの学校で用いられている標準的なセクシャリティ教育教材と、イスラームの信仰にもとづき作成されたセクシャリティ教育教材を入手し、それぞれを個別に検討したことが挙げられる。その成果をもとに、本年度の前半はこれら二つの教材比較研究をより本格的に行い、その成果を国内外の学会で発表することにより専門家や実践家からの評価を仰いだ。 年度の後半は、ムスリム移民のイニシアティブにより作成されたセクシャリティ教育教材がどのような背景から作成され、また現在、実際の学校現場でどのように用いられているのかを明らかにするために、オランダでのフィールド調査を実施した。具体的には、イスラーム学校3校及び代表組織であるイスラーム学校運営連合を訪問し、教材作成者、学校長、教師らへの半構造化インタビューを行った。 加えて、来年度の最終年度に向けた研究成果の包括的な取りまとめの準備にも着手した。まず、多文化社会での子育て実践にみられる多様な文化表象の分析を子ども虐待の定義との関連でいかに位置づけるのかという問いに文化相対主義的アプローチという視点から接近した論文を執筆した。また、年度末の訪欧時には、ベルギーのルーヴァン・カトリック大学 現代イスラーム総合研究所に招かれる機会を得たため、本研究で明らかになったこれまでの研究成果も盛り込んだ講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、ヨーロッパ諸国が子どもへの性的虐待を防止するための教育プログラムを開発・実施するにあたり、社会の構成員の文化的・宗教的多様性がどのように考慮されてきたのか/されてこなかったのかを考察し、今後の課題を明らかにすることである。 これまでの研究を通じて、ヨーロッパ全体の政策(欧州評議会における性的搾取及び性的虐待子ども保護条約など)、国別の政策や教育現場での取り組み(とりわけオランダとベルギー)、そしてムスリム移民家庭とその子どもの側からの応答といった様々な段階に着目し、考察を深めることで、本研究の問いをある程度明らかにすることが可能になった。 特にムスリム移民の側からの具体的応答の一つとして、セクシャリティ教材の開発・出版という取り組みを詳細に明らかにしえたことは、本研究の更なる展開・進展が予想されうる大きな研究成果であったといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる来年度は、主に研究成果の公表に注力していきたい。年度の前半は、今年度末のフィールド調査での結果をまとめた学術論文を執筆するとともに、本研究期間を通じて手掛けてきた翻訳を出版する。年度の後半からは、本研究での総合的な成果を書籍のかたちで刊行するための準備を開始する。
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Causes of Carryover |
本年度は予定通り海外での学会発表やフィールド調査を行ったが、当初の予定よりも旅費を節約することができたため、多少の次年度使用額が生じた。この金額は最終年度に研究成果の公表を進めるにあたって必要となる資料整理アルバイト(人件費)に充てる予定である。
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Research Products
(5 results)