2016 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of mechanism of spinal cord regeneration via functional regulation of glial cells by bone marrow stromal cell
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26870744
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Research Institution | Aino University |
Principal Investigator |
兼清 健志 藍野大学, 中央研究施設, 講師 (20525399)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脊髄損傷 / グリア細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず前年度に引き続き、骨髄間質細胞(BMSC)の培養上清(BMSC-CM)を添加することで変動する因子の解析を行った。その結果、反応性アストロサイトマーカーであるGFAPやS100βの発現が約60%に抑えられていた。また、ADなどの中枢神経疾患の反応性アストロサイトでGABA産生酵素であるMAObが活性化することが知られているが、BMSC-CMで培養したアストロサイトではMAObの発現が約半分に抑えられていた。さらに、炎症性のケモカインCCL20とCXCL10の発現が約30%に抑えられていた。一方で、抗炎症性サイトカインであるIL-11の発現は1.7倍増加していた。これらのことから、BMSC-CMは、アストロサイトの活性化を抑えることで炎症反応を抑制し、二次損傷を軽減することでその後の神経再生を有利にしていることが示唆された。 一方で、脳脊髄液を産生し中枢神経系の維持に重要であるグリア細胞の一つである脈絡叢上皮細胞(CPEC)については、引き続きin vivoでの効果を検証した。脊髄損傷モデルラットの損傷部にCPECの細胞自体を移植して神経再生効果を検討した実験では、CPEC移植群でBBBスコア評価による行動の回復がみられること、損傷部の再生神経の密度が高いことを前年度までに見出したが、新たに移植群ではcavity volumeが有意に小さいことや、移植細胞とニューロンやアストロサイトが相互作用していることがわかった。さらに、CPECの培養上清(CPEC-CM)に神経突起伸長効果があることがわかったので、細胞自体を移植するのでなくCPEC-CMを脳脊髄液経由で投与して、脊髄損傷に対する効果を調べた。その結果、投与群で有意にBBBスコアの回復が認められた。 これらのことから、脊髄損傷からの回復は神経細胞のみならず種々のグリア細胞が複雑に相互作用した結果であることが示唆されたが、個々のグリア細胞をどの様に刺激するかはさらなる研究が必要である。
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