2014 Fiscal Year Research-status Report
インフルエンザウイルスの簡便な細胞性免疫評価法の確立
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26870758
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
大谷 成人 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (10561772)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | インフルエンザ / ワクチン / 細胞性免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
通常インフルエンザワクチンに関しては、接種後の抗体検査など免疫学的評価を行うことはない。また多くの人はワクチン接種→抗体産生→感染防御と考えている。しかし、インフルエンザに関しては実際に抗体がどのくらい産生されれば、感染防御につながるかよく分かっていない。近年、インフルエンザに対する免疫学的評価としては細胞性免疫と液性免疫の両方を評価することが良いとの報告があり、細胞性免疫を適確に評価する方法を確立する必要があると考えた。申請者は、結核の検査方法として用いられているクオンティフェロンをヒントに、水痘・帯状疱疹ウイルスに対する細胞性免疫の評価に関する研究を行ってきた。本研究では、申請者が開発した水痘・帯状疱疹ウイルスに対する細胞性免疫を測定する方法と同様の方法を応用し、インフルエンザウイルスに対する細胞性免疫を測定する方法を開発する。本研究では、(a)インフルエンザウイルスに対する細胞性免疫の測定方法の開発、(b)インフルエンザワクチンの接種に伴う免疫学的効果、(c)インフルエンザに対する免疫学的評価方法の確立を目的としている。 平成26年度に行った内容 (a)インフルエンザウイルスの細胞性免疫の測定方法の開発を行った。方法は全血とインフルエンザ抗原3種(H1N1,H3N2,B)それぞれと反応させ、最も多く特異的T細胞からIFN-γが産生される抗原量や培養時間の設定を行った。(b).インフルエンザワクチンの接種に伴う免疫学的効果を調べるため、ワクチン接種前後で、継時的な採血を行っている。また、同時に血清を保存している。これらの血清を用いて、インフルエンザの抗体をHI法にて測定し、細胞性免疫との関連をみる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、具体的に次のテーマを設定している。(a)インフルエンザウイルスに対する細胞性免疫の測定方法を開発、(b)インフルエンザワクチンの接種に伴う免疫学的効果、(c)インフルエンザに対する免疫学的評価方法の確立 (a).我々が、水痘・帯状疱疹ウイルスに対する細胞性免疫を測定する方法を開発し(Otani N, et al. J Immunol Methods, 2009)、感染の有無や発症時の診断に有効に用いることが可能であることを証明した(Otani N, et al. J Immunol Methods,2012)方法を参考にし、抗原量や培養時間の条件設定を進めることができた。 (b).職員などに対して、本研究の説明を行い、予定の20名を超える参加者を得ることができた。次に、(a)にて確立した細胞性免疫測定方法を用い、ワクチン接種前、ワクチン後2週間、ワクチン接種後2か月と参加者から採血を行った。次にワクチン接種後6か月の採血を予定している。一部の患者でインフルエンザに感染された方がいたため、インフルエンザに感染した場合の採血プロトコールをあらかじめ設定する必要があった。これは、今後これらの結果を分析したうえで検討する。 本研究に必要な関連機器はすでに装備されており、本学の倫理審査委員会の承認を既に得ていたため研究はスムーズに開始することができた。尚、当大学では、インフルエンザワクチンを希望する職員に対してワクチン接種を行っておりその日程に合わせ採血を行っているため、ワクチン接種に係る費用などは発生していない。
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Strategy for Future Research Activity |
インフルエンザワクチンの有効性は、年齢やワクチンを受ける人の免疫能、ワクチン株と流行株の類似性など様々な要因により変わる。近年、Osterholmら(2012)がインフルエンザ確定例を対象としたMeta-analysisを解析した報告によると、インフルエンザワクチンの感染を防止する効果は59%とこれまで考えられていたワクチンの効果よりも低いことが示された。ウイルス感染の評価に関しては、液性免疫つまり抗体を調べることにより感染の有無を評価する方法がとられているが、実際には液性免疫と細胞性免疫の両方による評価が必要だと考えられる。 今回行っている細胞性免疫の測定法は、全血を細胞分離することなく、インフルエンザウイルス抗原(ワクチン株)を反応させることにより産生されるIFN-γを測定することにより細胞性免疫を評価する方法を作成した。我々が開発した方法は、特殊な設備を必要とせず、簡便に細胞性免疫測定することが出来、現在用いられている抗体価以外の方法で、インフルエンザの免疫学的評価を行うことが期待される。また我々の方法は、結核で用いられているクオンティフェロンと同様に全血をそのまま用いることが出来、簡便で特殊な設備を必要としない。そのため、一般の医療機関で行うことが可能であると考えられる。 今後は、現在保存している検体の処理を行った後、細胞性免疫と液性免疫の推移を検討し、液性免疫と細胞性免疫との関連性についての解析を行う予定としている。また、ワクチン接種による免疫学的変化と感染との関連も調査する必要がある。これによりワクチン接種による免疫学的変化と感染防止に必要な免疫の関係を明らかにする。
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Research Products
(2 results)