2014 Fiscal Year Annual Research Report
小地域推定問題における統計的推測--発展途上国への適用および医学分野への拡張
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26880011
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉森 雅代 大阪大学, 医学部附属病院, 特任助教 (30739199)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | EBLUP / 予測精度 / 線形混合モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
採用一年目の平成26年度は,小地域推定の統計的推測法の確立のため, まずは線形混合モデルに基づく経験的最良線形不偏予測量(EBLUP)の予測精度に関する研究を行った. 具体的には, 以下3つの研究を行った. まずは, 過去に自身が提案した推定量と同時期に提案された推定量とを比較し, 自身が提案した推定量の有用性を, いくつかの数値実験を通して, 確認した. また, 従来用いられているEBLUPの予測精度指標の推定量にはいくつかの欠点が存在する. 特に, 真の値は狭義正にもかかわらず, 推定値が0をとりうる問題が存在する. この問題により, EBLUPの予測精度が良く実践的であっても, 予測精度の推定量として実践的でないという問題が生じる. そして, この問題は, EBLUPを用いた検定統計量にも大きく影響を与えることが予測される. この問題を解決し, かつ, 小地域推定の分野で要求される推定量の精度を保証するための方法の一つに, 計算機に依存する推定量が提案されているが, 計算機に極度に依存してしまうという新たな問題が生じる. この問題に対して, 計算機に極度に依存する従来の方法よりも, 計算機負担を軽減し, ユーザーにとって取り扱いやすい推定量を構築した. 海外の共同研究者とも議論を深めており, 現在投稿準備中である. 3つ目に, 予測精度に対する推定量の理論的精度が未だ保証されていないEBLUPに対して, 特殊な状況下での証明を行い, 理論的精度を保証した. 今年度は, より実践的な状況のもとでも, 理論的精度を保証する事ができるかを吟味し, 論文化につなげる予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1 年目の研究計画では, 複数の統計量構築に着手する予定であったが, 経験的最良線形不偏予測量に対する予測精度に関する研究に時間をかけてしまい, その他の統計量構築を行う事ができなかった. しかしながら, 学会や研究集会等で, 線形混合モデルを用いた最新の統計的手法に関する研究やその流行を探り, かつ, 他分野(官庁統計, 医学統計だけでなく, 計算機, 疫学分野等)での従来のEBLUP及び疑似EBLUPの問題を探ることができた. この情報を生かして提案手法の質を高める予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
1年目では最新の統計的手法に関する研究やその流行を探り, かつ他分野での自身の研究適用可能性も探った. その情報を生かし, かつ, 前述した目的を達成するため, 2 年目は, 1年目で計画に掲げていた従来のEBLUPのデメリットを探り, 各々の改良点を探る. その結果、貧困層や災害に対する地域ごとの解析, 及び, コホート研究への適用を吟味し, 仮定するデータの発生モデルが崩れた場合や標本の選ばれる確率が地域ごとに異なる場合に用いられる疑似EBLUPの研究に着手する予定である.
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Research Products
(1 results)