Outline of Annual Research Achievements |
本研究では, 近年の計算機の高速化によって遂行可能となる先進国のための研究に限らず, 高性能な計算機の購入が難しい発展途上国を意識した,計算量が少なく取り扱いやすい地域別データ解析のための統計的推測法の確立を目的として掲げていた. また, これらを医学分野へも応用する予定であった. 1年目に引き続き, まずは, 国外の研究者と現場でよく用いられている推定量(EBLUP)の予測精度の推定に焦点をあて, 研究を行った. 具体的には, 予測精度の指標の推定値が現実的に考えられない値をとってしまう場合の回避法である. 先行研究でも, そのような推定値の回避法がいくつか考えられてきたが, その性質と引き換えに推定値が不安定になりやすく, たとえその安定性を獲得できたとしても計算機依存の方法に頼ってしまっていた. この問題に対し, 先行研究より計算機に依存しないが安定性をある程度保つことができる手法の研究を行い, 適切な手法を開発した. この研究の一部分は国内外の学会にて発表した. 全体の成果に関しては, 今年度投稿予定である. その他の成果として, EBLUPを用いた経験的ベイズ信頼区間法についての研究も行い, 先行研究と同程度の精度を保ちながら取り扱いがより容易となる手法を開発した. この研究成果についても, 現在論文投稿準備中ではあり, 今年度投稿予定である. また, 医学統計への応用を意識した, 手法のモデル一般化可能性についても研究を行い, 医学統計の国際学会にてポスター発表を行った. さらに, 政府統計の研究集会でも小地域推定についての講演を行った. 今後, これらの分野でも有用な手法となるよう, モデルの一般化等を続ける予定である.
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