2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26884009
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
桑原 俊介 東京大学, 人文社会系研究科, 教務補佐員 (30735402)
|
Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
|
Keywords | 蓋然性 / 真実らしさ / 美学 / バウムガルテン / 真理 / ゴットシェート / スイス派 / 論理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、バウムガルテンの美学の創設と、17世紀中葉以降の「蓋然性」概念の変容による学問の拡張との関係性を明らかにすることを目的とする。本年度の研究は2つの課題から構成された。 第一に、投稿論文(『美学』246号)の査読を受け、バウムガルテンの美学における「蓋然性」と「真実らしさ」概念が、美学の「学問」としての形式的条件といかに関係するのかを再考した。その結果、第一に、美学が、「学問」としては、論理学の「証明」に基づく厳密な真理性を要請されたこと、しかしそれが、第二に、「方法論」(オルガノン)としては、その目的である「真理」の「完全性」を実現しえないものとして、厳密な真理性を否定されたことが明らかとなった。そして、後者にもかかわらず、美学が成立し得たのは、「真理」を量的に規定し、その「度合い」を厳密に規定可能にする、17世紀中葉以降の論理学において生じた「蓋然性」概念の変容があったことが挙げられる点が明らかとなった(論文1)。 第二に、本体の研究を補強・強化する研究として「可能性」概念の研究を行った。前年度の継続として、本年度はゴットシェート、スイス派の詩論における「可能世界論」の導入の論理を研究した。その結果、両者の「真実らしさ」が、ライプニッツの矛盾律と充足理由律に基づく論理学・存在論における「可能性」概念に即したものであること、そしてそれが「真実らしさ」のみならず、詩に固有の「詩的真理」としても規定され、芸術に固有の真理という、近代の自律的芸術概念にも繋がる論点が開示されていることが明らかとなった。
|
Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(1 results)