2014 Fiscal Year Annual Research Report
ソーシャルメディアを用いたシェイクスピア受容状況調査
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26884055
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Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
北村 紗衣 武蔵大学, 人文学部, 講師 (00733825)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | シェイクスピア / 観客 / 演劇 / デジタルメディア / SNS / デジタル人文学 / 受容史 / 舞台芸術 |
Outline of Annual Research Achievements |
交付申請書に記述した課題1、つまり現在オンライン上に存在するシェイクスピアへの言及を、伝統的にシェイクスピア受容研究の資料として使用されてきた他の一次史料類と比較検討する作業については2014年度中に進展し、大部分は終わらせることができたと考えている。2014年度末には、2015年4月1日から4日までカナダのヴァンクーヴァーで実施されたアメリカシェイクスピア学会において開催されたセミナー'Women Making Texts in Early Modern England'に参加してデジタルデータと今まで使用されてきた手稿などの史料の性質を比較検討するためペーパーを準備した。春期休暇中である3月末にはバトン・ルージュにあるルイジアナ州立大学に渡航し、手稿類やシェイクスピア関連エフェメラなどについての資料調査を行った他、近隣の街であるニューオーリンズにてThe Tennessee Williams/New Orleans Literary Festival(テネシー・ウィリアムズ・ニューオーリンズ文学祭)に参加し、演劇祭公式ツイッターハッシュタグである#TWF15の使用状況を調査した。この結果、他のイベントハッシュタグに比べると演劇のハッシュタグはリアルタイムの中継的ハッシュタグ使用が非常に少なく、この点で他のコンテンツと比較検討をする余地があるのではないかということがわかった。 課題2である、SNSを受容研究に使用する場合の倫理的側面の検討については、当初は何人かの観客にインタビュー調査を行う予定であったが、それ以前の先行事例の検討の段階で、既に予想していたよりも大きな倫理的問題に直面するのではないかという考察が得られた。この点については引き続き2015年度に持ち越して検討していく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
課題1として設定した受容史研究のための史料の比較検討については、やや遅れているものの9割以上は達成できたと思っている。遅れがある理由のひとつとしては、成果を発表したアメリカシェイクスピア学会が3月末ではなく4月はじめであったため、少々成果発表が2015年度はじめにずれこんだことがある。また、本来の研究計画で予定していた、2014年度中に雑誌『科学史研究』で情報流通に関する共同企画を発行するというプロジェクトについては、他の参加者の博論審査の関係などで遅れが生じており、いまだ実現できていない。しかしながらアメリカシェイクスピア学会の準備と3月末の出張調査を通して、計画した内容についておおむね有意義な考察を得ることができたと考えている。 課題2についてもやや遅れがあり、とくに観客に実際にインタビュー調査などを実施するということができなかった。しかしながらこれは既にインタビュー調査などを実施する前の段階で倫理的問題があるという考察が得られたからでもあり、2015年度にはとくにインタビュー等は実施しない予定でいる。 最も遅れているのは、当初予定していたように科研費プロジェクト用のウェブサイトを作って運営するということができなかったことである。もともとはサーバを自分で借りてウェブサイトを作る予定であったが、成果発表用のサイトとしては無料で大学サーバに設置した方が良いのではないかという案が浮上し、これについて検討したが結局大学の情報関連サポートが充実しておらず、不可能であるという結論に達した。現在、リサーチマップ等を用いて無料で研究ブログ等を開設したほうが簡便ではないかという可能性に関して検討しており、本格的なウェブサイト自体は2015年度も作成しない可能性が高い。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度は計画どおり、課題3、つまりSNSを調査する際にはどのような技術的課題を克服せねばならないのかに関して、情報技術分野の研究者や社会学分野のメディア研究者の協力をあおぎつつ検討する。この課題を検討するためには技術や知識の点で他分野の研究者に支援を要請する必要があると考えられ、こうした他の研究者たちとのネットワーキングに努力したい。しかしながら当初予定していた、2015年7月の表象文化論学会大会にてパネルを組織することについては人員が集まらなかったことなどもあってできないということになったため、何らかの他の手段で研究成果を発表することを検討している。 同時に課題4として、シェイクスピアを見る観客がソーシャルメディアを用いてどのように情報を交換しているかについて最低一点、事例研究を実施して論文を執筆したいと考えている。現在、この事例研究としては、近年、めざましい進展を見せている映画館における舞台映像配信をとりあげたいと考えている。TOHOシネマズ系列で実施している、英国ナショナル・シアターにおける上演を映像化して公開するナショナル・シアター・ライヴの上映情報についてはツイッター等で相当な量の情報交換が行われており、できればこれについての事例研究を行いたい。このため、日本のTOHOシネマズに問い合わせ調査を行うとともに、夏期休暇などを用いて渡英し、ナショナル・シアターで調査を実施する予定である。
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Research Products
(2 results)