2014 Fiscal Year Annual Research Report
企業規模が生成する労働市場における社会的地位の制度的格差に関する研究
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26885018
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 和孝 東京大学, 社会科学研究所, 助教 (80734798)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 企業規模 / 労働市場 / 賃金格差 / 技能形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、企業という組織レベルの要因をひとつの社会制度と見なし、それを労働市場における社会的地位の格差の生成メカニズムとみなした実証的な検討を行うことである。本研究では、(1)企業規模による社会的地位の格差がどのようにに変化しているか、(2)企業規模による社会的地位の格差は因果的なものとみなせるか、すなわち個人の能力や選好とは区別した社会制度の影響が見られるかを検証する。個人の能力や選好と社会制度の区別が、先行研究では明示的にモデル化されてこなかったことを乗り越え、日本の労働市場において企業規模が格差の生成プロセスに影響している役割を実証的に明らかにすることが目指される。 上記の課題を遂行するにあたって、採用初年度にあたる平成26年度は当初の研究計画に基づき、(1)文献の収集およびレビュー、(2)分析モデルの検討、(3)基礎的な知見の成果報告を行った。 (1)については、社会階層論・比較政治経済学・労働経済学の分野における関連する文献を検討した。(2)については、パネルデータにおける個人の観察されない異質性と企業規模が交互作用を持つモデルおよび、個人が異なる企業規模へ入職するというランダムでないセレクションがその後の移動に影響を与えることを想定したモデルの検討を行った。(3)については、第87回日本社会学会大会にて「観察されない個人間の異質性が企業規模と賃金の関係に与える影響」と題する口頭報告、および第59回数理社会学会大会において「Multiprocessモデルを用いた職歴移動の分析」と題するポスター報告を行った。 以上のように、採用最終年度である平成27年度に向けた課題遂行の基礎的作業を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請を行った段階の研究計画と照らしあわせ、「研究実績の概要」に記載した(1)から(3)のいずれにおいても進捗が見られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね順調に研究が進展していると考えられるため、平成27年度も研究計画に沿って進めてゆく。当該年度が最終年度であることを踏まえ、学会誌への投稿など成果の発信により重点を置いてゆく。
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Research Products
(2 results)