2014 Fiscal Year Annual Research Report
非対称な遺伝子発現パターンを生むメカニズムの構成的アプローチによる解明
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26891027
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
関根 亮二 独立行政法人理化学研究所, 生命システム研究センター, 研究員 (70730232)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 発生生物学 / 合成生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
発生初期の胚では、それまで対称であった遺伝子発現の空間パターンが非対称になるという現象が起こる。この現象には様々なシグナル分子が関わっているが、その中でもNodalとLeftyという活性化因子、抑制因子の関係にある拡散性のシグナル分子は重要な役割を果たしていると考えられている。 本研究は、遺伝子発現の非対称パターン形成がNodal-Leftyのみで可能なのか、そのパターンの大きさや形に重要なパラメータは何なのかという疑問の解明に取り組むものである。本研究では、ホスト細胞としてHEK293細胞を採用した。 前年度の研究計画では、(1)Nodal受信系の確認、(2)プロモータライブラリの作製、(3)細胞内で発現させたNodalやLeftyの機能のリポーターアッセイによる確認、(4)各構成要素のパラメータの確認、の4項目の研究を実施する予定であった。申請者は実際に(1)~(3)の研究計画を完遂した。(4)に関しては、Nodal応答プロモーターのシグナル応答曲線のリポーターアッセイによる取得実験の系をたてたところである。また、NodalやLeftyの拡散速度のFRAPによる測定に関しては、GFPやmCherryを融合し可視化したNodalとLeftyのコンストラクトを作製したところである。 それに加え、目標の人工Nodal-Lefty系を細胞内に構築し、その細胞集団内にNodal活性の高い領域、低い領域を作ることができた。今後は計画(4)の遂行と並行して人工Nodal-Lefty系のパラメータを操作できるような仕組みを作っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた4項目のうち、3項目を完遂し、残りの1項目についても準備がほぼ完了している。それに加えて、予定していなかった人工Nodal-Lefty系の作製および、人工Nodal-Lefty系を導入した細胞で小さな高Nodal発現領域の自律的な生成を確認できているため。なお、この追加した実験は、研究の実施方針の見通しをよくする上で重要なものであった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究申請書ではNodalやLeftyの拡散速度を遅くする仕組みについて述べたが、速くする(遠くまでシグナルが届く)方の仕組みを特にNodalに関して優先して作っていった方がいいと、人工Nodal-Lefty系を用いた実験からわかった。 そのため、Nodalの安定化変異体の作製やCo-receptorの変更の準備を進めている。
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