2014 Fiscal Year Annual Research Report
サリドマイド併用によるヒト前立腺癌PC3細胞のドセタキセル感受性の増強
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26930019
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
玉木 宏樹 島根大学, 医学部附属病院・薬剤部, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ドセタキセル / 前立腺癌 / 抗腫瘍効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)の標準治療としてドセタキセル(DTX)が使用されるが、徐々に耐性を示し予後不良となる。当院では、DTX耐性CRPCに対し、DTXにサリドマイド(Tha)を併用することで再び前立腺特異抗原の低下を認めた症例を経験している。既に我々はヒト前立腺癌PC3細胞(PC3)を用いた曝露実験において、Tha単剤では抗腫瘍効果がほとんど認められないにも関らず、Tha/DTX併用においてはDTX単剤と比較して抗腫瘍効果が増強することを報告している。また、併用による抗腫瘍効果の増強と抗癌剤の細胞外排出機構ならびに耐性化に関与するとされている多剤耐性遺伝子1(MDR1)との関連性は低いことを報告している。本研究では、抗癌剤による癌細胞の細胞死に関連している内因性アポトーシスに及ぼすサリドマイドの影響を検討する目的にて、PC3ならびにDTX耐性PC3(DR-PC3)を用いた研究を行った。 【研究方法】DR-PC3はPC3をDTX50nMで4ヶ月以上培養することで確立した。Cell viabilityの測定はWST-8を用いて行った。アポトーシスの解析はAnnexin V-FITC/PI染色後、FACS Calibur flowcytometerにより行った。目的とするタンパク質の発現はイムノブロットで確認した。アポトーシス抑制タンパク質であるBcl-2、Bcl-xLとの関連性は、これらに対するsiRNAのトランスフェクションによりタンパク質の発現を選択的に抑制した状態で確認した。 【研究成果】DR-PC3に対するDTXのIC_<50>(Half maximal inhibitory concentration)は800nMでありPC3におけるIC_<50>6.25nMと比較して約100倍の抵抗性を示した。PC3においてsiRNAのトランスフェクションによりBcl-xLの発現を抑制した結果、DTXによるcell viabilityの有意な低下ならびにアポトーシスの著明な増加を認めた。これらの結果、Bcl-xLがPC3のDTX感受性の増強に関与していることが示唆された。現在、ThaがBcl-xLの阻害に影響を及ぼしている可能性について、PC3ならびにDR-PC3を用いて検討を行っている。これらの検討により、DTX耐性CRPCのDTX感受性を回復するための薬剤としてのThaの有用性が明らかとなる。
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