1985 Fiscal Year Annual Research Report
悪性脳腫瘍の手術時における留置用オキシセルロース-抗癌剤複合体の開発
Project/Area Number |
60015036
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
堀 了平 京都大学, 医, 教授 (40001036)
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Keywords | 脳腫瘍 / アドリアマイシン / ドキソルビシン / オキシセルロース / 除放性製剤 / ターゲティング |
Research Abstract |
抗癌剤を長時間、高濃度で腫瘍細胞に滞留させ、脳腫瘍の化学療法改善を計るため、オキシセルロース-アドリアマイシン、オキシセルロース-シスプラチン複合体を調製した。オキシセルロースは組織吸収性の止血剤であり、脳外科的手術時には止血の目的で脳内に留置する等安全性が保証された材質故、これにアドリアマイシン、シスプラチンを化学結合あるいは吸着により結合させ複合体を試製した。次いで本複合体のIN VITRO,IN VIVOにおける除放性、毒性、抗腫瘍特性を検討した。その結果オキシセルロース-アドリアマイシン複合体ではIN VITRO溶出試験において比較的良好な除放性(12時間で約50%、24時間で約80%溶出)が得られ、さらにホリ乳酸のコーティングによる長期除放性(2日で10-20%溶出)の可能性も認められた。また抗腫瘍効果(S-180担癌マウスに対する延命効果の改善)でもアドリアマイシン単独より勝れていることが観察された。そこでさらにラット、犬での毒性試験を行ったが、特筆すべき毒性は認められなかった。 以上の結果、臨床使用可能と考えられたので、脳腫瘍手術時に脳内留置し術後の再発防止効果を検討した。投与後脳脊髄液中アドリアマイシンは半日から数日にわたり高濃度を保ち、持効性が期待された。再発防止効果については径過観察中であり、近く統計処理の予定である。ボリ乳酸をコーティングしたオキシセルロース-アドリアマイシンについては毒性試験を行っているが、安全性の確認ができ次第、臨床使用を計画している。またオキシセルロース-シスプラチン複合体も調製したが、毒性が綱く、その原因を究明中である、
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Research Products
(4 results)
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[Publications] J.Pharmacol.Exp.Ther.235-2. (1985)
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[Publications] J.Pharmacobio-Dyn.8-4. (1985)
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[Publications] 病理と臨床. 3-3. (1985)
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[Publications] Surg.Neurol.24-2. (1985)