1985 Fiscal Year Annual Research Report
細胞成長因子の作用機構並びにその発がん遺伝子との関連の解析
Project/Area Number |
60218022
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
西塚 泰美 神戸大学, 医, 教授 (10025546)
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Keywords | 細胞成長因子 / 発がん遺伝子 / 蛋白質リン酸化酵素 / 発がんプロモーター / ホルボールエステル / モノクロナル抗体 |
Research Abstract |
細胞のがん化機構は細胞成長因子の情報伝達機構と密接に関連していることが明らかにされており、がん化機構の理解には正常の情報伝達機構を解明することが必須といえる。私共は細胞増殖や細胞機能の亢進を導く各種の生理活性物質の情報伝達機構において情報増幅の中心的役割を果たしている蛋白質リン酸化酵素、protein kinase Cがホルボールエステル等の発がんプロモーターの受容体として作用していることを明らかにしている。本年度は、昨年度にひき続き、正常の情報伝達機構および細胞のがん化機構におけるprotein kinase Cの機能を解明するために、本酵素に対するモノクロナル抗体の作製と、protein kinase Cの構造解析をおこない以下の成果をおさめた。即ち、protein kinase Cを大量に分離精製する方法を確立し、精製酵素を用いてマウスの免疫をくり返し、モノクロナル抗体の作製をおこない、最終的に3種類のクローンを得た。これらのモノクロナル抗体はprotein kinase Cに特異的に結合することをウェスタンブロッティング法により明らかにした。これらの抗体を用いて免疫組織化学的方法により本酵素の細胞内局在を検討した結果、protein kinase Cの細胞内分布は細胞種により異なるが、細胞質あるいは細胞内顆粒に存在し、細胞核にはほとんど存在しない。従って本酵素から細胞核への情報伝達にはもう一段の過程が存在するものと推定される。また、精製protein kinase Cを用いて本酵素の部分構造を解析し、アミノ酸配列を決定した。その結果、protein kinase Cの遺伝子クローニングをおこなうためのDNAプローブの作製が可能となり現在、DNAライブラリーよりの本酵素の遺伝子クローニングを開始している。今後、当初の計画に従い、本酵素の遺伝子クローニングを続行するとともにモノクロナル抗体を用いて正常の情報伝達機構あるいは細胞がん化機構におけるprotein kinase Cの役割の解析をおこなうことを予定している。
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[Publications] J.Natl.Cancer Inst.(1986)
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[Publications] Ann.Rev.Cell Biol.(1986)
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[Publications] J.Biol.Chem.260-23. (1985)
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[Publications] Biochem.Biophys.Res.Commun.132-2. (1985)
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[Publications] Biochem.Biophys.Res.Commun.130-2. (1985)