1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60430025
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
戸倉 清一 北海道大学, 理学部, 教授 (40000806)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西 則雄 北海道大学, 理学部, 助手 (70001857)
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Keywords | カルボキシメチルキチン / 医薬徐放性 / カルシウムイオン吸着 / アミノ酸特異吸着 / ゲル化 / 医薬トラッピング / プロドラッグ |
Research Abstract |
本年度は、水溶性カルボキシメチル化キチン(CMーキチン)の高い生体内消化性、カルシウム特異吸着能及び3値鉄イオンによるゲル化現象を利用してCMーキチンを担体とする医薬徐放性について研究した。まず、カルシウムイオンとキレートしたCMーキチンの各種アミノ酸及びペプチド類吸着能について調べフェニルアラニン及びフェニルアラニン含有ペプチド類との特異的相互作用を見出した。また、このフェニルアラニン吸着機構を調べたところ側鎖ベンジル基が主要な役割を果たしていることを見出した。また、このフェニルアラニン担持能はCMーキチンの分子量に大きく依存していることから医薬徐放性発現の可能性が示唆された。鉄イオン吸着によるCMーキチンのゲル化は2価の鉄イオン及び医薬(化学制ガン剤)をCMーキチンに混合し鉄イオンを酸化させるとゲル化が起こり生体内グリコシダーゼで加水分解されるとゲル内にトラップされていた医薬が徐放されることを見出した。一方、医薬をスペーサー(アミノ酸)を経てCMーキチンに共有結合した場合、動物に皮下注射すると生体内グリコシダーゼにより糖鎖が加水分解されて糖鎖及びスペーサーが結合した不活性医薬(プロドラッグ)が約120時間にわたり血液中に放出されて一定範囲内の濃度を維持できることを見出した。この場合グリコシダーゼさらに多種の酵素が働かなければ医薬の活性化は起こらずいわゆる医薬の二次元徐放が発現された。CMーキチン及びCMーキチン加水分解物は毒性を示さなかったことも見出されているので医薬の徐放性担体としては最適担体と云うことが出来る。今後、共有結合できる医薬、及びトラップできる医薬の種類について詳しく検討する必要がある。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] I.Azuma;J.Iida;K.Nishimura;C.Ishihara;S.Tokura;Y.Yamamura: Advances in the Biosciences. 68. 29-37 (1988)
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[Publications] Y.Uraki;S.Tokura: J.Macromol.Sci.-Chem.A25. 1427-1441 (1988)
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[Publications] 矢吹稔: "最後のバイオマス キチン・キトサン" 技報堂, 268 (1988)