1986 Fiscal Year Annual Research Report
リグニンのメカノケミストリーとパルプ漂白に関する研究
Project/Area Number |
60430029
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
住本 昌之 九大, 農学部, 教授 (40038162)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橘 燦郎 九州大学, 農学部, 助手 (10112319)
阿部 善作 九州大学, 農学部, 助手 (30091383)
田中 浩雄 九州大学, 農学部, 助教授 (20038243)
|
Keywords | コニフェリルアルコールP-O-メチルエーテル(1) / コニフェリルアルデヒドP-O-メチルエーテル(2) / メカノケミカル反応 / 光増感部 / 光照射 / リグニン分解菌 / 菌体外酵素 / 色戻り |
Research Abstract |
コニフェリルアルコールP-O-メチルエーテル(1)のメカノケミカルな変化としてコニフェリルアルデヒドP-O-メチルエーテル(2)と共にベラトリルアルデヒド(3)、シスコニフェリルアルコールP-O-メチルエーテル(4)、シクロブタン骨格を有する2量体(5)を得た。(2,3)の生成はメカノケミカル反応が酸化的であることを示す。まず(5)の構造を確認するため、フェルラ酸の光照射で構造既知の2量体を得て、これをメチル化、ついでLiAl【H_4】還元して(5)に一致することを見出した。またトランス-フェルラ酸の光照射でシスフェルラ酸を得て、そのメチル化、ついでLiAl【H_4】還元して(4)に一致することを認め、(4,5)の構造を決定した。しかし(1)を光照射しても(2,3,4,5)は全く得られない。これらはメカノケミカル反応と光反応との類似性および相違点を示す。メカノケミカル反応で得られるもう一つの2量体(6)についても構造を確認した。 他方リグニン分解菌Phanerochaete Crysosporiumを3日間前培養して得られる菌体外酵素でGPを数時間処理した後、高温洗浄、【H_2】【O_2】漂白すると、酵素処理なしの場合より、白色度は2〜3ポイント上昇し、熱による色戻りは1/4〜1/5、光による色戻りは1/2〜1/3に減少した。モデル実験としてのコニフェリルアルデヒドP-O-メチルエーテル(2)のP.C.処理ではコニフェリルアルコールP-O-メチルエーテル(1)を経てベラトリルアルコール(7)へ還元的に分解される。L-カルボニル基を有するモデル化合物も容易に還元される。つまりリグニン分子中の光増感部が、菌体外酵素によりかなりの選択性を持って還元分解されることが始めて明確に示された。短時間の処理であるため、酵素処理に伴なう収率の減少はゼロである。なおTMPの処理にはP.crysbsporiumよりもカワラタケの菌体外酵素が優れている。一層の処理条件の改善、菌種の拡大などにより、高収率パルプ漂白の長年の課題解決の可能性が示された。尚β-1型、ピノレジノール型モデルを合成した。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] H.Hirashima: Mokuzai Gakkaishi. 33. 33-41 (1987)
-
[Publications] D-Y.Lee: Mokuzai Gakkaishi. 33. (1987)
-
[Publications] D-Y.Lee: Mokuzai Gakkaishi. 33. (1987)
-
[Publications] D-Y.Lee: Mokuzai Gakkaishi. 33. (1987)
-
[Publications] T.Yamashita: Mokuzai Gakkaishi. 33. (1987)