Research Abstract |
1.研究目的 当研究班は昭和60年度から4年間にわたり聴取り調査を行い長寿者の食生活の特徴を明らかにし,これらに基づいて利用食品の食品成分分析ならびに動物実験による生理的効果を明らかにして,長寿と食生活について考究することを目的としている. 2.研究方法 (1)聴取り調査は那覇市の長寿者51人,伊江村,伊是名村,粟国村の41人を対象に家族構成,生活環境,健康状態,食生活状況に関して行った. (2)食品分析は「そてつ味噌」のアミノ酸組成,「ひとえぐさ」の一般成分,カロチン,ビタミンC量の測定を行った. (3)動物実験は「沖縄あおさ」,「おごのり」を飼料に混合して飼育した白ネズミの血清と肝臓の脂質濃度への影響をみた. 3.結果 (1)那覇市の長寿者については調査を終えて集計・解析中である. 領島の3村については2〜3世代同居率が高く,体型は普通. 壮年期の食生活で利用度の高い食品は甘藷,魚,海藻,野菜(行事食に豚肉)がみられ,現在は甘藷が米と入れ替り,その他の利用度が高くなっていた. さらに,乳・肉製品の嗜好度も高く,食の適応性もよい. 栄養所要量に対し,栄養素摂取率は全般的に低値であった. (2)そてつ種子味噌のアミノ酸組成はそら豆味噌に比較して何れのアミノ酸も多く,Tyr.,Arg.は約2倍量含まれていた. ひとえぐさ(冷凍6か月貯蔵)の成分は水分約85%,たんぱく質1.5,炭水化物10.5,灰分3%で,ビタミンAはカロチンとして750μg%,ビタミンC1mg%であった. (3)海藻混入飼料で15日間飼育した後,断頭採血,肝臓を摘出した. 血清,肝臓中の脂質(トリグリセライド,コレステロール)を定量する為,現在実験中である.
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